テニスの王子さま


5年会ってなくてもすぐに見つけられた。
だけど、空港に来させるんじゃなかった。この人は立ってるだけで人目を引くんだ。
まるでそこだけぽっかり穴があいたみたいに、遠巻きにこの人に向けられる視線の数に舌打ちした。
見るなら俺を見れば。
今を時めくプロテニスプレイヤーの越前リョーマって俺のことなんだけど。

俺は颯爽と歩いて人目を横切る。
まったく、あんまり目立たないでくれないかな。
俺も5年もこの人を放し飼いにしてたなんて、考えてみたらゾッとする。
今さら不安を覚えて、歩く足に力を入れた。
幸村さんの背後を捉えると、後ろから両手で目隠しした。

「おまたせ」

よほどびっくりしたのか、幸村さんはびくりと体を震わせた。

「ただいま」

「…俺の知ってるぼうやはいないようだね」

視界を奪われたまま、幸村さんはため息混じりに笑った。
にゃろぅ…身長のこと言ってるな。
もう体格差で泣かせないから。いや、泣かせてやる。

「あんたは相変わらずだね」

「そう?がっかりしたかい?」

そうじゃなくて。
なんだろ…すごい独り占めしたくなるその雰囲気、どうにかなんないの。

俺はそっと目隠しを外した。
久しぶりに目の当たりにした幸村さんは、ちょっとびっくりした後、澄んだ瞳で俺を見つめた。

「なに」

恥ずかしいんだけど。

「あっはは!もう全然ぼうやじゃない」

「…!」

ムカつく。けど…その笑顔はずっと俺が欲しかったやつ。好き。

「顔、赤いよ?」

「しょうがないじゃん…」

「ふふ、おかえり」

憧れてた同じ目の高さが、今となってはこんなに恥ずかしいなんて。
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