立海 I LOB YOU


「玉川が球出しをしているね」

「そうだな」

「あ、今度は一年生の素振りのフォームを直してあげてる」

「そのようだな」

「俺、あんな事してた?」

「………」

「なんか言って」

「…人には適材適所というものがあってだな」

「………」

「幸村は憧れだ。お前が前を横切れば身が引き締まり、お前が少し微笑めば、もっと精進して次は振り向いてもらおうとひたすらにラケットを振る事ができるのだ。お前の存在一つで部を鼓舞できる。こんな振る舞いは誰にもできんぞ」

「…玉川は偉いね。俺を反面教師にしたかな。部が生き生きとしている。…みんな楽しそうだ」

「なぜ玉川を選んだ」

「俺ができなかった事をしてくれそうだから。やってみたかった事を実現してくれそうだから?あ…!」

「些か優男染みていて心許なかったが…反骨精神を秘めていたか。俺たちが築いてきた風潮に逆らってでも勝利を掴む気か。責めているのではないぞ。玉川はよくわかっていたようだ。赤也もそうだろう。俺たちの思いは赤也の中にある」

「あれかな、諸行無常…」

「うむ、盛者必衰の理をあらはす」

「少し悲しいけど、俺たちはよくやったよな」

「ああ、よくやったな」

「赤也ーーー!」

幸村は大きく手を振った。
赤也も元気よくラケットを振って返してきた。
その充実感にあふれた表情は、幸村の気持ちも明るくさせた。そんな幸村を隣で見ていた真田もまた、ようやく副部長としての役割を終えた心の充足を覚えたのだった。


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