十二月のしきたり

am.6:50

「よく寝た!なあ、真田?」

清清しい幸村とは真逆に、俺はほとんど一睡もできないまま朝を迎えた。目はギンギンとしているくせに、頭はぼうっとして、生まれて初めての夜更かしは終わったのだ。

あの後、ケーキを食べ、二人で布団に潜り込んであれこれ語り合った。それは楽しかった。幸村と二人きりで誰にも邪魔されずに彼を独占できたから大満足だ。

そして消灯してからが、俺の勝負どころだった。
無論、忍耐の…
俺の貸した着流しを身に付けた幸村は、寝返りをうつ度に着崩れていく。胸元や大腿まで肌をさらす始末で、肌と肌が触れ合うとそれだけでイケナイ事をしている気分になって、俺は何度も布団をかけ直した。

ーーー精市を頼んだよ

くじけそうになると、幸村の父親を思い出した。

ーーーキズモノにしたら許さない

昨夜交わした言葉の裏に、そう牽制されているのだと俺は受け取っていた。



「真田。手を出してくれなかったんだね…」

「おまえの両親と会ってみて、悲しませたくないと思った」

「俺はちょっぴり悲しい」

「すまん…だが正しかったと思っている」

「そうか…俺も君の家族には嫌われたくないなぁ」

「嫌いなものか。母もお祖父さんもおまえが好きだぞ」

幸村の家は案外厳しいと両親の様子から肌で感じた。
それでも、今はどうなるかわからない未来も、幸村なら導いてくれるだろう。
ひとまず、幸村はぐっすり眠ってくれた。

(約束は果たした。お義父さん…これくらいは許して頂こう)

俺は幸村を押し倒した。

「俺からもプレゼントをやろう」

もちろん、昨日気に入って買った物ではない。
みるみる頬を染める幸村が愛しくて、笑いを堪えられなかった。

「真田ぁ…!」

俺は幸村の欲望を閉じ込めるために、唇を重ねた。



end
20/20ページ
スキ