十二月のしきたり

pm:23:02

「喜べ幸村!俺がおまえの特効薬だとお墨付きをもらったぞ!」

戦利品のケーキの箱を片手に下げながら、幸村のいる部屋の襖を開けた。

「幸村!」

うずくまっている幸村を認めると、すぐに肩を抱いた。

「なんだよあれ…あんなの聞かされたら俺…」

「そう思ったなら止めに入ってくれればいいものを…必死だったのだぞ。おまえを連れ戻されるのではないかと」

今思い返しても赤面の至りである。

「…迷惑だったか」

幸村は首を横に振った。
やがて決心したように立ち上がったから、俺も幸村に向き直る。

「真田。俺からのプレゼントだ」

「?」

「見えないかい?聞こえてる?」

「……」

「おかしな…俺は五感は奪っていないよ?」

「ああ、見えるし聞こえている。匂いも…この体温も」

「ぁ…真田…」

"とっくり"を指で引っ掛けて、隠れていた首筋に鼻を寄せて唇を押し当てた。

「ぅ…俺の五感が奪われそうだ…」

ふらつきながら後退る幸村の腕を思い切り引いた。着流し一枚の俺の胸板に、幸村の額を押し付ける。

「一度もらったプレゼントだ。返さんぞ」

「あきらめないでよかった」

幸村はうんうんと、俺の腕の中で頷いていた。
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