大切な…

「真田、真田っ……」

仰け反る首筋から臍にかけて、まっすぐ舌を這わす。
そうすれば、幸村は俺の名を何度も呼んだ。

(何をそんなに不安になる必要がある)

下からその顔を除き見れば、苦悶に満ちた表情をしているから、どうにかしてこちらに気を引かせたかった。
臍の下を舌先でしつこくなぞる。

「ゃ…真田ぁ」

下肢に手を這わせば、そこはすっかり濡れていて、液が俺の掌にまとわりついた。 幸村の両足が腰に絡んできて、両手は俺の頭を掴んだ。
そっと後孔に触れれば、俺の指をスルリと迎え入れていく。いつも感じる、幸村にすべてを包み込まれていくような錯覚。

(不安で仕方がないのは俺の方か…?)

中に入れば、やはりそこは熱く俺を包み込む。
お互いを圧迫し合う関係性は、さながら離さない離したくないと求め合う俺たちだ。

「ぁは…すごいシワ」

眉間をつつかれて見れば、深い呼吸を繰り返し額に汗を滲ませている幸村がいる。
苦痛と微笑みが一緒になったような顔をしていた。
目が合えば、中の圧がグッと強まった。

「っ、幸…」

「お前にあえてよかったよ」

それは今日のことか、それともずっと以前のことか… わからないが、もう幸村の顔に不安の色はないことは確信した。

(それでいい。お前が信じるものは何も変わらずお前の側にある)

自分では気づかなかったが、口許が緩んでいたらしい俺に、

「やっと、笑ったな…」

優しく唇を指でなぞられた。
その瞳は、とても安心しきっていて綺麗だった。 たまらず、きつく抱きしめる。

(お前の方こそようやく笑ったではないか)

幸村の呼吸はまだ乱れていたが、構わず最奥を突いた。
俺はここにいる、立海はお前が信じる確かな場所だと伝わっただろうか。
それに応えるように、幸村は精を放ち、俺もすぐにその後を追った。
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