十二月のしきたり
am.12:05
「どう?休みはどうしてるんだ?」
部活を引退した後の真田の休日について、出し抜けに聞いてみた。
部活がなくなると、学校で真田と顔を合わせる時間がめっきり減ったことが俺には想定外だった。俺は彼に用はなくても、彼は俺に用があるだろうと思い込んでいた節がある。
休日にテニスの誘いも無いまま、今日を迎えてしまったわけだ。
「うむ。将棋をな、お祖父さんと」
真田はちょっと俺に顔を向けると、楽しそうに将棋の技量について語り出した。
しまったと思った。
真田の将棋好きはずっと前から知っているのに、俺は少しもそれについて理解しようとしなかった。
ちゃんと勉強していれば、今頃は対局できるくらいになっていたに違いない。
何度もこのパターンの会話をしているのだから、俺はいつ真田に、
「幸村もそろそろやってみないか」
と瞳を輝かせながら誘われるんじゃないかと気が気でなかった。
けれどこの日も俺の心配をよそに、真田はひとしきり将棋談義に花を咲かせると、
「お祖父さんにはまだまだ及ばないな」
と前を向いてしまった。
なんだか俺の方がさみしくなって、行く先々に飾られているポインセチアに目を止めた。
「真田、真田」
彼のリュックをつかんで引いた。
「あれ、知ってるだろ?」
「む…あれは確かクリスマスによく見る花だな」
「前に教えたろ?赤い花に見える部分は葉なんだ」
俺の出した突然の過去問題にも、真田は嫌な顔ひとつせずに、真剣に思い出そうとしている。
「確か…ぽい…ん?」
(がんばれ、もう少しだ!)
俺は二度うなずいて、先を促した。
「ぽいんせちぁ…?」
「!」
当たりだろう、と少し得意げな顔を向けられた瞬間、俺の心臓がどきんとした。
「何だ、違ったか?」
俺の表情を探ろうとする真田から、あわてて顔を逸らした。今見られたらきっと変な顔してる。
「どうなんだ幸村」
「なんか…おまえが言うとやらしいな…」
冬の空気に負けないくらい、俺の心に火が灯る。
「どう?休みはどうしてるんだ?」
部活を引退した後の真田の休日について、出し抜けに聞いてみた。
部活がなくなると、学校で真田と顔を合わせる時間がめっきり減ったことが俺には想定外だった。俺は彼に用はなくても、彼は俺に用があるだろうと思い込んでいた節がある。
休日にテニスの誘いも無いまま、今日を迎えてしまったわけだ。
「うむ。将棋をな、お祖父さんと」
真田はちょっと俺に顔を向けると、楽しそうに将棋の技量について語り出した。
しまったと思った。
真田の将棋好きはずっと前から知っているのに、俺は少しもそれについて理解しようとしなかった。
ちゃんと勉強していれば、今頃は対局できるくらいになっていたに違いない。
何度もこのパターンの会話をしているのだから、俺はいつ真田に、
「幸村もそろそろやってみないか」
と瞳を輝かせながら誘われるんじゃないかと気が気でなかった。
けれどこの日も俺の心配をよそに、真田はひとしきり将棋談義に花を咲かせると、
「お祖父さんにはまだまだ及ばないな」
と前を向いてしまった。
なんだか俺の方がさみしくなって、行く先々に飾られているポインセチアに目を止めた。
「真田、真田」
彼のリュックをつかんで引いた。
「あれ、知ってるだろ?」
「む…あれは確かクリスマスによく見る花だな」
「前に教えたろ?赤い花に見える部分は葉なんだ」
俺の出した突然の過去問題にも、真田は嫌な顔ひとつせずに、真剣に思い出そうとしている。
「確か…ぽい…ん?」
(がんばれ、もう少しだ!)
俺は二度うなずいて、先を促した。
「ぽいんせちぁ…?」
「!」
当たりだろう、と少し得意げな顔を向けられた瞬間、俺の心臓がどきんとした。
「何だ、違ったか?」
俺の表情を探ろうとする真田から、あわてて顔を逸らした。今見られたらきっと変な顔してる。
「どうなんだ幸村」
「なんか…おまえが言うとやらしいな…」
冬の空気に負けないくらい、俺の心に火が灯る。
