始まり
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『ちょ…っ』
「報告くらい一人でイケるだろ、わざわざ僕まで行く必要なくない?」
何で?と言いたいが、電話中の彼に大きな声を上げられず目で訴える
すると聞き手になっている彼が口角を上げ、握った手を動かし指と指を絡ませてきた
所謂、恋人繋ぎというモノで彼の大きな手の温もりを感じて鼓動が早くなる
振り解こうと動かせばギュッと更に強くなり、熱が籠もる顔を見せまいと俯いた
私の知ってる五条君なら、こんな事しない
触んな、と言って遠ざけるに決まってるのに
こんな…
「そんな古株の規則なんて知らねぇっての。あ、それと伊地知、急なんだけど明日休暇にして、よろしくー」ピッ
『え"』
言うだけ言って五条君は通話を切った
その最低っぷりに私の熱は急激に冷えた
「お待たせー、何食べるか決めた?」
『いやいやっ!、今のは駄目でしょ!?』
こんな自分勝手な社会人初めて見た
最低だよ!
「大丈夫だって、それに服とか揃えないと困るでしょ」
『う…』
私の為と言われると何も言えない
でも電話の相手、伊地知さんに多大な迷惑をかけると思うと…
『あの時の私の馬鹿野郎…』
「何言ってんの?」
グルグルと何が悪いのか思考した結果、タイムスリップ?の術式を喰らった自分を責めた
「それより手…、握ったままだよ」
『ふぇ?』
「僕はこのままでも良いけど」
『っ〜!』
色気を含んだ声色に私の熱は再び上がる
『馬鹿っ!』
全力で振り解くと今度は離れた
距離を取って壁に身を隠してキッと睨むが、ヘラヘラ嗤うだけで完全に遊ばれてると理解する
「なんか小動物みたい。あの頃もこうしてイジっとけば良かった」
『五条君の鬼!、絶対ムリ!』
嫌味という名の毒を吐かれると傷付いて距離置きたくなるのに、スキンシップが激しいとか何の嫌がらせだ
絶対、精神的に死ぬ
「ウブ流菜ー、そろそろ決めないと明日起きれなくなるよ」
『うぅ…』
私の葛藤を知らずか無視してるのか
多分後者だと感じて頭を抱える
「何にする?、寿司に中華、ハンバーグとかあるよ」
『……その前に、五条君がずっと持ってるそれ何?』
出前ってチラシで注文するんじゃなかった?
「は?、スマホだけど」
『すまほ…?』
「わー、マジか」
棒読みで驚いた五条君は携帯の進化版だと教えてくれた
『何それ、凄い!、便利!』
近付いて画面を覗くと中華メニューが載っていてテンション上がった
「はいはい、明日買ってあげるから」
『え、いやっ、いるとは言ってない、よ…』
「そーんなキラキラした後に言われても、説得力まるでナシ」
欲しいんだろ?と言われて正直にはいと頷いた
「無いと困るから買うよ、つっても証明書も保証人もいないお前じゃ買えないから僕が契約するしかないか」
『あ、…重ね重ねすみません』
タイムスリップ、結構厄介だな
ん?、そもそもタイムスリップって身近な人と接触したらいけない、のは過去だけで未来はいいんだっけ…?
『まぁ、五条君から逃げられる訳ないけど…』
呪力感知なんて呼吸するのと変わらない
生まれ持った最強の瞳、六眼は全てを見透すのだから
「はい、時間切れ!、今ピザ気分だからピザ頼むねー」
『え、ピ…っ、あ、うん…』
いきなりのゆるキャラモードにツッコむ気力すら削がれた
神様、六眼を授ける相手を間違えてませんか?
鼻唄交じりにタッチ操作で注文していく彼を見てそう思わざるをえなかった
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