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『………んん』
微睡みの中、目を開けるとカーテンから射し込む光が眩しくて逃げる様に寝返りを打った
肌触りの良い布が肌を掠め、気持ちよくて目を閉じたまま丸くなる
すると、顔面にモフッと柔らかくて弾力のあるモノが当たる
この匂い、安心するなぁ…
手放したく無くてそれを押し付ける
『………?』
微かな違和感
それが気になり目を開けた
『ん……』
視界いっぱいに映る白
その正体は枕だった
何だ枕か、と思って二度寝しようとすると新たな違和感を覚え再び目を開ける
『………え?』
私の枕と違う…、どころじゃない…っ!、
ガバッと起き上がり辺りを見渡すと知らない部屋のベッドに居た
状況が分からず混乱する頭を抱えると、だらんと伸びた袖に気付く
『あ……』
この服は借りたもの
寝落ちしてしまった事を思い出して家主を捜そうとベッドから降りる
『ひ、ぎゃ…っ!』
バタッ!
サイズがブカブカなのは上だけじゃなかった
ズボンの裾を踏み、油断していた私は盛大に転んだ
『っー…!』
痛い、お陰で眠気は吹き飛んだけれども…
「おーい、朝から何暴れてんの?」
そこへ、家主の五条君がサングラス姿でやって来た
おはよーと言われるが返す余裕が無く狼狽える
『お、はっ、ち…!、違う!、暴れた訳じゃ…』
「あー、成程。ドジだねー」
『うぅ…』
誤魔化す暇もなく悟られ、ヘラッと笑われた
『!、というか、私今…っ』
完全な寝起き
ボサボサの頭に寝跡が付いた顔、右肩が見えそうなくらい歪んだ服に気付いて慌てて隠す
もう見られた後だろうけど…
「ちゃんと女って自覚はあるみたいだね」
『……いいから、向こうに行ってて…』
「はいはい、…あぁ、自覚ついでに言うけど」
『?』
背中を向けて数歩進んだ所で五条君が振り返る
「これは大人の忠告…、僕以外の男の前で寝たら駄目だよ。分かった?」
『っ……はい』
穏やかな空気が一変し、緊張が走る
殺気とまではいかないけれど、それくらい彼の忠告は本気で目を伏せて頷く
「宜しい!。じゃあ僕はリビングに行ってるから、洗面所使いなよ」
『…………ぅ、ん』
人の気も知らずにケロッと元通りになった五条君に生返事しか出来なかった
『大人の忠告かぁ…』
同級生だった彼はすっかり逞しい大人になって、私を子ども扱いする
複雑だ…
『五条君だってブカブカの服を着れば…』
なんて、彼より長身な人は中々いない…
そもそもウエスト以外でブカブカになる事あるのかなと疑問が出てくる
『早く行かなきゃ……って、此処、寝室だよね…』
四肢の袖を捲り、使ったベッドを整えて気付いた
私がベッドを使った、なら彼は何処で寝たの…?
居候の身でめちゃくちゃやらかしてないかと青ざめる
『あぁ~…、何で寝ちゃったかな…ぁ…』
ガクンと膝から崩れ落ち手を付いて、ブツブツと謝罪を繰り返す
きっとお風呂から上がって、寝てる私に気付いて、運んでくれたんだ
って事は寝顔も見られたんだ、変な顔してなかったかな…っ?
何て悶ているとはよ動け、と彼から声が掛かり私は慌てて洗面所に向かった
顔を洗い、身だしなみを整えてリビングに行くと五条君は壁と向かい合って何かしていた
『五条君?』
「やっと来た。ほら、制服綺麗になったよ」
彼と壁の間には私の制服が掛けられていた
本当にクリーニングに出したくらいの仕上がりに私は目を丸くした
『どうやったの?』
「んー、未来の家電の力ってヤツ」
『ドラ○もん?』
「あぁ、確かに。でもアレって未来の道具を過去に持ってきてるから、どちらかと云えば浦島太郎じゃない?」
『あ、そっか。ありがとう』
制服を眺め、寝室で思った事を聞いてみようと顔を上げる
『五条君、昨日は寝ちゃってゴメン、なさい…、ベッドにまで運ばせてしまって』
「ちゃんと反省してるならいいよ」
でも次からはペナルティ付けようかなと悪戯な笑みを浮かべる五条君
出来れば無しか、忘れる方向でお願いしたい
『それで、五条君は何処で寝たの?』
「何処で寝たって…、寝てないよ」
『えっ!?』
しれっと答える彼に私の頭の中で信じられないが木霊した
『え、そ…、それ…っ、大丈夫なの!?』
私だったら絶対眠くて普通に振る舞えないのに、平然としている彼に驚愕する
そんな私にどうどうと動物を落ち着かせる仕草をする
「へーきへーき、僕最強だからそんなに睡眠要らないんだよね」
『……最強と睡眠はイコールでいいの…?』
「うん、但し…五条悟に限る!、真似しちゃ駄目だよ」
良い子の皆は、のテンションで話すご機嫌な彼に訳が分からなくなる
『…何処までが本当で、何処までが嘘?』
「心外だなー、嘘は付いてないよ」
首を傾げ迷走しているとヘラッと笑って同じ角度に傾けて見下ろしてくる
信じてもいいのかな…?
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