夏の日のもの想い
燃えるたてがみをなびかせ、火を吹きながら走る荒くれ馬を制御するのは、神々の中でも最も美しいと言われる太陽の神・アポロン。
天の黄道を東から西へ駆け抜ける雄雄しき太陽神に、あるニンフが恋をした。
その想いが届く筈のないことを知りつつも、太陽のように燃え上がる熱い想いに胸を焦がし、日がな一日、ニンフは愛しいアポロンの姿を目で追った。
来る日も来る日も…
妹のことを心配し、諦めさせようとする姉達の言葉も、もはやニンフの耳には入らない。
やがて、ニンフの足は大地に根を張り、腕は緑の葉となり、顔は大きな花となり、その姿は向日葵に変わったという神話を思い出す。
向日葵になってもなお、アポロンから目を話すことが出来ない向日葵は、哀しい程に一途でひたむき…
私には哀れに思えても、本人はそれで幸せなのかもしれない。
向日葵の花は、花が咲ききると太陽を追うのをやめるという。
それは、なぜだろう?
どんなに追いかけたって、手の届かない想いだってことに気付くから?
それとも、年老いて、ずっと追いかけるだけの体力や情熱を失ってしまうから?
いや、きっとそうじゃない…
もしかしたら……向日葵は、いつの間にか、憧れ続けていた太陽と同化してしまうからじゃないだろうか。
気が付いた時には、向日葵は地上の太陽になっていて…
暗く閉ざされた人の心を照らし、
冷え切ってしまった人を優しく温め
そして、すっかり気力をなくしてしまった人に熱い勇気や情熱を与える。
その役割を担うから、追いかけるのをやめるんだ。
私は太陽が嫌いだ。
熱く眩し過ぎる太陽よりも、ほのかな月の光りの方がずっと好き。
だけど、世の中がずっと月の上ぼる夜ばかりなら…
きっと、花も木もなにも育たないだろう…
夜は見たくないものを隠してくれる…血を流す傷に触れず、そっとしておいてくれる…
だけど、それだけではきっと人は前に向かって歩き出せない。
優しい月明かりは遠く離れた目標を照らし出してはくれないから。
だから、太陽は必要なんだ。
どれほど熱くても、どれほど眩しくても…
天の黄道を東から西へ駆け抜ける雄雄しき太陽神に、あるニンフが恋をした。
その想いが届く筈のないことを知りつつも、太陽のように燃え上がる熱い想いに胸を焦がし、日がな一日、ニンフは愛しいアポロンの姿を目で追った。
来る日も来る日も…
妹のことを心配し、諦めさせようとする姉達の言葉も、もはやニンフの耳には入らない。
やがて、ニンフの足は大地に根を張り、腕は緑の葉となり、顔は大きな花となり、その姿は向日葵に変わったという神話を思い出す。
向日葵になってもなお、アポロンから目を話すことが出来ない向日葵は、哀しい程に一途でひたむき…
私には哀れに思えても、本人はそれで幸せなのかもしれない。
向日葵の花は、花が咲ききると太陽を追うのをやめるという。
それは、なぜだろう?
どんなに追いかけたって、手の届かない想いだってことに気付くから?
それとも、年老いて、ずっと追いかけるだけの体力や情熱を失ってしまうから?
いや、きっとそうじゃない…
もしかしたら……向日葵は、いつの間にか、憧れ続けていた太陽と同化してしまうからじゃないだろうか。
気が付いた時には、向日葵は地上の太陽になっていて…
暗く閉ざされた人の心を照らし、
冷え切ってしまった人を優しく温め
そして、すっかり気力をなくしてしまった人に熱い勇気や情熱を与える。
その役割を担うから、追いかけるのをやめるんだ。
私は太陽が嫌いだ。
熱く眩し過ぎる太陽よりも、ほのかな月の光りの方がずっと好き。
だけど、世の中がずっと月の上ぼる夜ばかりなら…
きっと、花も木もなにも育たないだろう…
夜は見たくないものを隠してくれる…血を流す傷に触れず、そっとしておいてくれる…
だけど、それだけではきっと人は前に向かって歩き出せない。
優しい月明かりは遠く離れた目標を照らし出してはくれないから。
だから、太陽は必要なんだ。
どれほど熱くても、どれほど眩しくても…