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夏の日のもの想い

(わぁ……)



ひさしぶりに通る道…
大きなお家の塀から顔をのぞかせていた「それ」に、私は心の中で小さな歓声を上げた。
肌を焦がすような熱を放射する太陽を疎ましく感じることもないのか、まっすぐに顔を向ける大きな向日葵。
縁取りの花びらが短く、体格の良い、昔良く見た向日葵だ。
そういえば、いつ頃からだろう?
見掛ける向日葵の姿が変わって来たのは…
最近見掛ける向日葵はは昔のもの程大きくなく、顔みたいに思える真ん中の部分がずいぶん小さくなって、それを縁取る花びらが長くなった。
日本人の体格も、最近じゃ手足が長く小顔になったけど、それと似たようなものかもしれない。



私は、向日葵が嫌いだった。
暑さを少しも感じないかのように、夏のじりじりとした日差しの中に悠然と立ち尽すその姿はいかにも頑丈で元気で、気持ちも明るくて前向きで、繊細さやあやうさを欠片程も感じさせないその花に私は反感のようなものを感じてた。
それに比べて最近よく見かける向日葵には昔のものほどの力強さはなく、どこか都会的でおしゃれな姿に変わった。

昔のものより私好みに変わったはずなのに、なぜだか、その向日葵にはあまり魅力を感じない。
なぜだろう?
もしかしたら、夏をイメージさせる「黄色」が嫌いなのかもしれない。
だから、どんな向日葵も嫌いなんだ。
そんな風に考えてみたけど、久し振りに見た昔の向日葵に、私は妙な心地良さを感じていることに気が付いた。
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