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「どないかしたんか？」

「ひいっ！」

不意に声をかけられ、僕は心臓が止まるほど驚いた。
恐る恐る振り向くと、そこに立っていたのは、容姿的には僕とほとんど変わりがない青年。
年の頃は僕より少し若い…？
随分とラフな…作業着とも思えるような服装のその青年は、愛嬌の良い笑顔を浮かべ、僕を見ていた。
少し訛ってはいたが言葉も聞き取れたし、この分なら翻訳機は必要なさそうだ。
何よりも、ここの住人が僕とあまり変わらないタイプだということに僕は一番ほっとした。
繋がった世界には、なんらかの共通点がある場合がほとんどだ。
全く同じ世界で、そのうちのごく限られた部分のみが違っているというものも過去には発見されている。
だが、予想もしない程、違った世界である可能性だってないとはいえないのだ。
まだ詳しいことはわからないが、ここはそういう世界ではなさそうだった。
でも、ほっとしている場合じゃない。
まさか、僕が異世界から来たなんて思わないだろうけど、何か言わないときっと不審がられてしまうから。



「あ、あの…僕…実は…」

青年は黙ったまま、僕の顔を見ていた。



「え…えっと…えっと…その…」

元々、僕は人と関わることが苦手で、口下手だ。
こんな時にはどういえば良いのかと、焦れば焦る程、言葉は出ずに汗だけが流れて来る。
もしかして、この男…僕のことをあやしいと思っているのか？
そう考えると、僕の心臓はますます早さを増していく。



「……自分、関西のもんとちゃうな。
どっから来たんや？」



見破られた！？
なぜだろう？服装が違うとはいえ、僕が着ているのは一般的な部屋着で、色も形もそれほど違和感があるということはないはずだ。
「関西」というのが、この国の名前なのか？
どうしよう！？
やはり、ここは異国の者を装っておくべきか。



「そ、そ、そうです。
いかにも僕はこの国の者ではありません。
この関西には……そ、そうだ！旅行で来ました。」

僕は、不審がられないようにと、出来得る限りの友好的な笑顔を浮かべてそう答えた。