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愛すべき隣人





「ここが大阪城や。
なかなかええ感じやろ?」

てっちゃんが連れて行ってくれたのは、一風変わった外観の建物だった。
そこに着くまでの道すがら、聞いていた話から推測するとどうやら大昔に建てられたもののようだ。



「はい、なかなかええ感じですね!」

「江藤君、このお城誰が建てたか知ってるか?」

「いえ…」

「……江藤君…そこは豊臣秀吉と言わなあかんやろ…」

「そ、そうなんですか?
では、豊臣秀吉です。」

「ブー!●林組でした~!」

僕は言われた通り、豊臣秀吉と答えたのに、てっちゃんは、とても楽しそうにそんなことを言って笑う。



「はぁ…そうなんですか…」

「江藤君……そうなんですかて…
……君は相当鍛え甲斐がありそうやなぁ…
ま、そんな君でも、一年もこっちにおったら基本的なつっこみくらいは出来るようになる……かなぁ…?」

てっちゃんは、不審気に僕のことをまじまじとみつめ…



「ま、どうにかなるやろ!
よっしゃ!次、行こか!」



この世界はどこも活気で漲っていた。
行き交う誰もが大きな声で誰とでも気さくに話し、そしてよく笑う。
僕にはまだよく意味がわからないことも多いけど、この世界の人々はユーモアを愛しているようだ。
それと、昨日から何度も耳にした「東京」というキーワード。
どうやらそれはこの世界の中心の地域の名前らしく、大阪の人々はその東京に対抗意識を燃やしているらしい。

それと、キミ子ちゃんにもらった服なんだけど……通りを歩いていると、動物の顔や柄の模様を着ている人は確かに多かったのだけど、それは女性がほとんどで…
そのことについててっちゃんに聞いてみると、やっぱりそれは女性中心の流行りだということがわかった。
だけど、僕に注目する人はいない。
どんな服装をしようと、そんなものは本人の自由だとてっちゃんは言った。
確かに、動物の柄が多いとはいえ、その色やデザインは皆バラバラで、これといった規則性がない。
皆が好きなものを好きなように着ていることが僕にもよくわかった。
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