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愛すべき隣人

「わぁ……」

思わず漏らした僕の感嘆の声に、てっちゃんは嬉しそうな笑みを浮かべ、さらに、青い粉と薄い茶色のセロファンのようなものをふりかけた。
薄いセロファンは、熱に踊らされてうねうねと動き、少し不気味だ。
美味しそうなにおいはするものの、なんだかやっぱり怖い気もする…



「は~い、出来ました~!
……ん?江藤君、どうしたん?
まさか、お好み焼きは初めてなんか?」

「は、はい。」

これはお好み焼きという料理らしい。
この世界で初めて口にする料理は一体どんな味なんだろう?



「さぁ…早よ、食べよ。
早よ食べな、妖怪が…」



ヨウカイ……?



てっちゃんが、僕にさっきのへらよりも一回り小さなものを手渡したその時、玄関の扉ががらがらと開いた。



「いや~、おいしそうなにおいやわぁ…
私がお腹減ってること、なんでわかったん?」

「あぁぁ…来てしもた……」



入って来たのは小太りの中年の女性で、動物の顔が前面一杯に描かれた派手な服を着ていた。
てっちゃんは、その女性の出現に片手で頭を抱える。



「あら、お友達?
うち、隣のキミ子ちゃん。
よろしくね!
あ、てっちゃん…うちにもコテちょうだい。」

「はいはい。」

「はいは一つ!」



てっちゃんは渋い顔で台所に向かった。
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