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クリスマスのシンデレラ

(ひっひっひっ…)


再び、向かいの席に戻ってガラスに張りついている三太郎さんに気付かれないよう、私は美香にメールを送った。



『観覧車の中でラブラブで~す。』

ハートの絵文字をいやみなくらいに散りばめて…



(なんだか私って性格悪いな…)

嬉しさ半分、自己嫌悪半分…



美香からの返信はなかった。
きっと、ショックを受けてるんだと思う。
だって、三太郎さんはきゅうり君とは比べものにならないっていうか、別の星の生命体って言っても良い程、違い過ぎるんだもん。



その後も私達はあちこちを歩いて周った。
イルミネーションのイベントを見たり、大きなクリスマスツリーの前での合唱を聴いたり、海辺のレストランで食事をしたり。
きっともうこんな奇跡は起きないだろうから、私は調子に乗って、三太郎さんの腕にそっと腕をまわした。
振り払われたらやめようと思ったけど、三太郎さんはちっともいやがらずそのまま歩いてくれた。



(こんなことしても怒らないなんて、やっぱり三太郎さんはボランティアの人かもしれない。)



そうじゃなきゃ、こんなことありえないもん…







「……もうだめだ…」



夜も更けて来た頃、唐突に三太郎さんが呟いた。



「だめって…何がだめなんです…!?」

「それは……」

三太郎さんの顔は、暗く沈んだ表情に変わってた。
それは、私の母性本能をくすぐる表情で…とにかく、なんとかしてあげなくてはいけないような気分になっていた。



「三太郎さん、あなたは今日私に素敵な夢を見せて下さいました。
私…クリスマスをあなたみたいに素敵な人と過ごした事なんてなくて…本当に楽しかったんです。
それに…実は…私……」

なんだか熱くなり過ぎたのか、気がつくと、私は美香とのいきさつを…自分のやった恥ずかしい行いを三太郎さんに話してしまっていた。



「……あなたは良い方のようですね。」

私が話し終えると、三太郎さんはそう言って小さく笑った。



「では、僕もお話します。
きっと、信じられないと思いますが、それはそれで構いません。」

そう前置きすると、三太郎さんはゆっくりと話し始めた。
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