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クリスマスのシンデレラ

…………って…



「ええええーーーーーーっっっ!」



気がつくと、私は素っ頓狂な声で叫んでいた。




「あ、あの…確認しますが、今、あなたは私と一緒に過ごしたいとおっしゃったんですか?」

「はい。」

「……ってことは、これは夢ですか?」

「いえ…現実です。
……なんなら、ほっぺをつねりましょうか?」

「……お願いします。」



「ぎゃあーーーー!」

私はつねられた頬の痛みに、あやしい笑みを浮かべた。







「じゃあ、今度はあの観覧車に乗ってみましょう。」

「は…はいっ。」



訳がわからないままに、私と彼…三太郎君は恋人同士のように街をぶらぶらしていた。
デートと言っても良いかもしれない。
でも、なぜ、こんな素敵な人が私なんかと…
もしかして、ボランティア…?
それとも、新手の詐欺?
訊きたかったけど、訊いたらこの夢のような雰囲気がぶち壊しになりそうで、私はどうしてもその質問を口にすることは出来なかった。



「わぁ!綺麗!」



冬は陽の沈むのが早い。
夕方の観覧車から見下ろす街の光景はさながら光の宝石箱。



「本当に綺麗ですね。」

そう言いながら、三太郎君は観覧車のガラスに張りつくようにして下を見下ろしている。
観覧車の狭い空間にこんなイケメンと二人っきりなんて、本当に夢みたい…!



(あ…そうだ!)



「あ…あの、三太郎さん…
ちょっと、お願いがあるんですが…」

「お願い……?」

そう言って私の方に向き直り、小首を傾げた三太郎さんはえらくキュートで…



(か、可愛い…)



「僕に出来ることならなんでもしますよ。」

「あ、あ、出来ます!出来ます!
一緒に写メを撮ってほしいだけなんです!」

「あぁ、そんなことですか。」

「きゃっ!」

柄にもなく可愛ぶった声が出てしまった。
だって、言葉を言いきらないうちに三太郎さんは私の隣に座って肩を組んだんだもの。

でも、チャンスは逃せない!
私は鼻の下の伸びきった顔で写メを撮った。
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