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クリスマスのシンデレラ





(馬鹿だな…あんなつまらない嘘なんて吐いたばっかりに…)



イケメンはいるにはいたけど、皆、彼女と一緒にいちゃいちゃとくっついて歩いてる。
とても隠し撮りなんて出来る状態なんかじゃない。
一人で歩いているのは、きゅうり君と同ランクの冴えない男ばかり…



(ま、私だって、他人のルックスにどうこう言える立場じゃないんだけどね…)



気合いを入れておしゃれをしたら、自分でもけっこうイケてる気がして、私は上気分で家を出た。
もしかしたら、ナンパなんてされるんじゃないかっていう淡い期待まで胸に抱いて。
だけど、普段の私よりは多少マシって程度のもので、間違っても「可愛い」部類に入ったわけじゃない。
着ている物もなんだか無理してるのがあからさまで、ショウウィンドウに映る自分を見る度に自分が憐れに思える程だった。



(……そうだ…!
彼は風邪ひいてて、無理して出て来たものの具合が悪くなったからすぐに帰ったってことにしよう…)



ここまで来ても、まだ嘘を吐き通そうとする自分が情けない…
だけど、ここまで来てしまったからこそ、もはや引っ込みがつかないってもんだ。



Uターンして駅へ向かおうとした時、私の前に息を切らせて駆けて来た背の高いモデルのようなイケメンが立ちはだかった。



(な…なに??)



「あ…あの…」

「は、はい。」

「今日一日、僕と一緒に過ごしてもらえないでしょうか?」

「へ…?
え……ん?……あれれ?……あの、今、なんて…」

その人があまりにもカッコ良かったせいか、私は一瞬何がなんだかわからなくなってしまってた。
確か、今、今日一日一緒に過ごしてほしいなんて言われたような気がしたけど…
そんなことあるわけない。
私ってば、写メのことで幻聴を聞く程追い詰められてたんだ…きっと。



「僕と一緒に過ごしてほしいんです。
どうか、お願いします!」



なんだ、幻聴なんかじゃなかった。
このイケメン君は、今、はっきりと、私と一緒に過ごしてほしいって言った。
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