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クリスマスのシンデレラ

「えっ!マジ!?
……良かったぁ。
実はね…私も彼が出来たんだ。
でも、美香になかなか言い出しにくくて、クリスマスは近付いて来るしどうしようかって焦ってたとこだったんだ~」

「そうなの!?」

美香はどこか疑ってるような…そして、つまらなさそうな表情をし浮かべた。







クリスマスの近付いたその数週間後、私は美香に誘われて、服を買いに行く事になってしまった。



「ねぇ、どうせならちょっと気合い入れた服にしようよ。
あたし達、お互い初めて彼氏と過ごすクリスマスなんだしさ!」

「そ、そうだね!」

普段は地味な色しか着ない私達が何を血迷ったのか、真っ赤なワンピースなんてものを買ってしまってた。
私のは、中央に白の大きめボタンがあって、袖口や裾には白いボアがついてて、冷静に考えるとまるでサンタクロースみたいなデザインだ。
完全に血迷ってる…
美香はそれだけでは飽き足らず、私達は滅多に行かない美容院に行ってパーマをあて、化粧品まで買いこむ羽目になってしまった。



(すごい出費…
私…一体、なにやってんだろう…
私には彼氏なんていないのにこんなもの買ってどうするんだろう…
……馬鹿だ…どうしようもない馬鹿だ!)



酷い自己嫌悪に陥りながら、私は家路に着いた。









パーマはもうどうしようもないとしても、服と化粧品は返しに行こうかどうしようか…
迷っているうちに、あっという間に月日は流れ…
というよりも、年末は何かと忙しく、残業続きでとても返品に行く暇はなかった。
見栄を張った罰だと思って、私は潔く諦めることにした。
ただ、生まれて初めてあてたパーマは意外にも評判が良く、それだけはちょっと救われた気分だった。
とはいっても、クリスマスのことを考えるとやはり心は重い。

せっかく買ったワンピースだけど、こんなの着て一人でクリスマスの街をうろつくなんて哀し過ぎる…
幸い、明日は土曜日で会社は休み。
明日と明後日は家で大掃除でもしながら、引きこもりの日にしよう…

そんなことを考えながら、私はとぼとぼと会社を後にした。
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