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特別な妹

(アンリって、一体、どんな生活をして来たんだろう?)



食事を採るアンリの姿に、僕はつい見惚れてしまった。
なんていうんだろう…食事のマナーがとても上品で、その姿がまるで一枚の絵のように思える。
父さんはお城の庭師をしていて、それほど高級取りってわけじゃないのに、アンリの家にはちゃんと生活費を渡せてたんだろうか?
って、僕がこんな心配をするのはどう考えてもおかしいけど、アンリはそういう家庭環境で育った割には少しもがっついた所は感じられない。
もしかしたら、アンリのお母さんは何か仕事をしていて、生活費には困ってなかったのかもしれない。
そして、きっとすごく躾にも厳しくてしっかりした人だったんだと思う。
だから、アンリはあんなに上品なんだ。



「ジョッシュ、どうしたの?ぼーーっとして…」

「な、なんでもないよ!」

僕は慌てて料理をかきこんだ。

……おかしい。
やっぱり、どう考えてもおかしいぞ。
愛人の娘を引き取ったっていうのに、どうしてこんなに穏やかな夕食なんだろう?
父さんは、母さんに対して悪びれた様子もないし、母さんも怒ってる様子はない。

もしかしたら、母さんは昔から父さんが浮気してることを…子供がいることを知ってたんだろうか?
でも、その割にはうちの家庭はうまくいってた。
そりゃあ、たまには喧嘩をすることもあったけど、そんなに根深い喧嘩じゃないから次の日にはいつもおさまってた。
基本的にうちの両親はけっこう仲が良いんだ。
僕にはまだガールフレンドの一人もいないからよくわからないけど、夫婦っていうものは、こんな重大な問題も意外と簡単に許せるものなのかなぁ…

普通だったら、僕もこんなにあっさりとアンリのことを受け入れられる筈がないと思うんだけど、二人があまりに自然だから、僕もまるで親戚の子が一緒に住む事になったような…そんな感覚に陥ってしまっていた。
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