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特別な妹

「アンソニー様!」

「ロジャー!
私は無事だ!
早く、リチャードを!」



馬に乗っていたのはお城の警備隊の制服を着た男達だった。
男達はアンリの言葉に従い、すぐに父さんの加勢に入った。
そのおかげで、すでに、決着のつきかけていたその戦いはあっという間にけりがつき、アンリに襲いかかった男達は捉えられ、引っ立てられて行った。



「アンソニー様、お怪我はありませんか?」

先程、ロジャーと呼ばれた男が、アンリの足元に跪いてそう訊ねた。



「私はなんともない。
それよりも、リチャードは無事なのか?」

「はい、私なら無事です。」

そう言いながら、父さんもロジャーさんと同じようにアンリの前に跪いた。



「と…父さん、無事って…血が……」

「こんなものはかすり傷だ。
おまえはなんともないのか?」

「僕は大丈…」

答えようとした時、僕もいつの間にか足を怪我していることに気がついた。
いつ怪我したのか、全く記憶はないし、痛みもよくわからない。
でも、それよりも、僕が気になったのは、今の状況だ。
皆、なんで、アンリの前に跪いてるんだ?
どうして、アンリのことを「アンソニー」なんて呼ぶんだ?
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