書類配りIV
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「殺す。殺して…葬り去る」
まるで機械が喋っているかのような声が、螢から聞こえた。
「そうだよなァ…『悪魔』?」
ニタァ…と不気味に笑う。
「「っ………!?」」
途端に凄まじい殺気が男達を襲った。
「フ…アハハ!アハハハハ!」
「な…何なんだよお前…っ」
「アハ♪クスクス…愉しいなァ」
恐怖で怯える男が指と指の隙間から見たのは…ネジがぶっ飛んだ様に壊れ、狂った笑みを浮かべる螢だった…。
「ヒッ…!!」
「大事な物を奪オウとするなんテ…許セないナァ…」
「や、やめろ…」
「いいかよく覚エておけ」
段々と声に落ち着きが戻るが、その喋り方はどこか不自然だった。
「守る為なら人はどんな最低ナ事だってすル」
顔から手が離されたと思い、ホッと安堵する男だったが、その手は首に回される。
「っ!?」
「大丈夫。怯えるな。死は怖くない。苦しいのはほんの少しだ。なぁ…?」
「が……っ」
「ふ…あはははは!」
ギリッと首に力を込める。その姿に他の男達も足が竦んで動けず、おかしくなった螢に恐怖を抱いた。
「守らなきゃ。二度と奪わセない為ニ…」
楽しそうに笑う螢と白目を剥いて口から泡を吹き出す男。その手が緩まることはない。
そして再び、あの聲が響いた───。
《ヒャハハハ!最高だよ!》
《少し『力』を与えただけなのに!》
《やっぱり…お前を選んで正解だった。》
《さあ『───』!》
《殺せ!憎き悪魔を!》
《お前の『望み』の為に───!!》
ギリギリと締め付ける首。ふと男から力が抜けた。その時だった…。
「ダメ───!!」
泣きそうな声と共に後ろから飛び付かれる。その腕は必死に螢を止めようとしていた。
「ダメだよ!!」
彼女を止めたのは霙だった。
「ねえ!!霙の声、聞いてよ…!!」
正気を失った螢に何度も呼びかける。
「その人死んじゃうよ!!」
それでも手は緩まない。
「(どうしよう…どうしよう!!)」
頭をフル回転させた霙は叫んだ。
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