仕組まれた罠
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「大変だったんじゃない?」
「こんなの朝飯前よ!」
「朝飯はさっき食ったろ」
「食べたよ!大盛り3杯!」
「威張って言うな食い過ぎだ」
「育ち盛りだからね!」
「育ち過ぎだ。どんだけ食えばお前の腹は満足するんだよ」
「この世の食べ物を食い尽くすまでだよ!」
「末恐ろしいなお前の腹は」
「それほどでも〜」
「褒めてねえわ」
何故か恥ずかしそうにする霙を“蒼ちゃん”と呼ばれる少年がツッコむ。
名は───
少女の双子の兄である。
男女の二卵性のせいか、顔はあまり似ておらず、性格も雰囲気も異なる。少女が髪を短くすると蒼生に瓜二つなのだ。
「すごいよ鬼灯さん」
「えっへん!」
「魂の定着はどうやったの?」
「企業秘密でーす☆」
「本当は電池とかで動いてるんじゃね?」
「失礼な!霙は天才なんだからそんなセコイことしないよ!蒼ちゃんのバカ!」
「名前は決めたの?」
「うん!」
「ウサ吉か」
「ダッサ!違う!」
「じゃあウサ公」
「“ウサ”しか合ってないし!蒼ちゃんてほんとネーミングセンスないよね!」
「あ″?」
「二人ともそこまで」
言い合いを始める二人を両手を叩いて制止させたのは雅だ。彼は落ち着いた口調で二人に言う。
「だってみっくん…」
雅に叱られてシュンッと落ち込む霙。
「その子が怯えてるよ」
いつのまにか足元に来ていた兎の人形を見下ろす。
「ごめんね、“リキュール”!」
霙はリキュールを抱き上げる。
「酒の名前じゃねえか」
「いいの!この子はリキュール!」
「私はいいと思うよ」
少女は霙の腕の中にいるリキュールを見る。
「ようこそ、リキュール」
優しく笑み、頭に手を置く。
「私達はキミを歓迎する」
リキュールは嬉しそうに目を輝かせる。
「与えられた真名は大事にしたまえ。この世に生を受け、運命を授けられたことを意味するとても貴重なものだからね」
そして最後にこう告げた。
「どうかキミの運命は何事にも囚われず自由であれ」
切なそうに瞳が揺れた。
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