書類配りⅢ
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【十三番隊舎】
「いつか絶対に殺す」
「誰かに聞かれるとまずいよ」
「!」
「うわ…機嫌悪そうな顔」
振り返ると雅がいた。
「書類届けに来たの?」
「あぁ」
「浮竹隊長なら隊首室にいるよ」
「気分が優れないの?」
「心配ないよ。最近は調子も良くなってるし、今京楽隊長が来てるんだ」
「隊舎にいないと思えば…。あれ…でも何で雅がここに?」
「浮竹隊長に薬を飲む為のお茶をね。渋いのは飲めんって言うから隊長の好きな『羽衣』のお茶と京楽隊長の好きな酒饅頭を持って行く途中で君に会ったんだ」
「そうだったのか」
「さ、行こう」
「昼間から飲んだくれてたら喝入れてやる」
「あー…うん…それがいいかもね」
「ついでに没収する」
「(京楽隊長…ご愁傷様。)」
「浮竹隊長の身体に障ったらどうすんだ」
「また殴られたの?」
青紫色に変色している頬を見て雅は溜息を吐いた。
「わざと殴られる必要ないのに」
「避けると逆効果だよ」
「隊長達に会う前に治してね」
「…わかってる」
頬に指先を当てれば、青い光が青紫色の痣を治癒し、綺麗さっぱり消えた。
「一色さんと鬼灯さん。思わず手助けしちゃったみたいだね。僕らにしか分からない程度の霊圧の乱れがあったよ」
「まぁ…あの二人に関しては想定内だよ。特に詩調は承諾したとはいえ、我慢が利かないと分かってたからな」
「なら心配させなきゃいいのに」
「今は堪えてもらうしかない」
青空の下、二人は肩を並べながら隊首室に向かう道を歩んでいる。
「あの人達は…私を許してくれるだろうか」
「!」
「私の身勝手な判断で大勢の人に迷惑をかけた。誰にも相談せず、一人で決断した。周りの気持ちなど考えずに…」
「……………」
「そんな私を…受け入れてくれるだろうか」
「許されないと思ってるの?」
「分からない…」
「君を拒絶するなんてあり得ないよ」
「断言したね」
「だって二人が君を嫌いになるはずがない」
「……………」
「大丈夫。きちんと話し合えば、きっと君の気持ちは二人に伝わるよ」
「うん…そうだね」
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