書類配りⅡ
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「(嫌なことを思い出す…)」
ぐっと顔をしかめる。
「(私の犠牲が誰かを傷つける?)」
「どうした?」
「いえ…何でもありません」
私の犠牲はただの自己満足なのか?
誰かを救いたいというだけの達成感がほしくて、私は人の命を救っているのか?
「(違う。そんなもので心が満たされるなら、それこそただの自己満足だ。)」
螢は自分の言葉を否定した。
「今回の件は仲間も承諾済みです。私が受ける仕打ちには一切の手助けは無用だと伝えました」
「それで…その約束は守られているのか?兄の仲間は個性派揃いだろう」
「まァ…若干二名は危うかったです。でもそれ以上は関わりはないと思います。彼らは約束を守る人達ですから」
「…兄は変わらぬな」
「そうですか?」
「(自分を犠牲にして戦っている所は、何も変わっていない…)」
白哉は笑みを浮かべている螢をじっと見つめる。だがこれ以上は何を言っても無駄だと判断したのか、聞くことをやめ、螢に書類を差し出す。
「ありがとうございます」
それを受け取る螢。
「して…梨央よ」
「はい?」
ゴゴゴッと白哉から黒いオーラが溢れ出す。
「!?」
螢は顔をヒクつかせ、一歩後ろに後ずさる。
「まさか今回の騒動…面白がってるわけではあるまいな?」
「め、滅相もございません!!」
咄嗟に嘘を吐く。
「……………」
必死に否定するも疑惑の目を向ける白哉の眼差しに堪えられず、慌てて話題を変えた。
「そ、そうだ隊長!」
「何だ」
「阿散井恋次なんですが…どうか彼を責めないであげてください」
「奴は兄を…」
「わかってます。ですが今の状況じゃ仕方ありません。彼が私を責める気持ちも理解できます。でも私はその気持ちを分かち合うことはできません」
「……………」
「彼女の舞台に幕を下ろさなければ、次々と操り人形が暴走します。だからもう少しだけ時間が必要なんです」
「…兄がそう言うなら恋次への罰は取り下げよう」
「ありがとうございます」
螢は頭を下げ、執務室を出た。
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