仕組まれた罠
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「最後まで嫌われてたか」
少女はクスクスと可笑しそうに笑う。
「さて…誰が迎えに来るかな」
ガチャッ…
「!」
扉が開き、中に入って来た人物の気配に気付いた少女は予想通りとでも云うように笑みを浮かべた。
「キミが来ると思った」
その声は嬉しそうに弾んだ。
「俺以外に誰がお前を迎えに行くんだよ」
「(ああ…懐かしい声。)」
思わず涙が溢れそうになる。
「久しぶりだね───お兄ちゃん」
「お兄ちゃん言うな」
「ふふっ」
「何笑ってやがる」
「だってキミに会えて嬉しいんだ」
「そうかよ」
「あはは。お兄ちゃんは相変わらず素っ気ない」
「だからその呼び方やめろ」
「まァ、元気そうで安心した」
「お前もな」
少年は持ってきた新しい死覇装を鉄格子の間から少女に手渡す。
「着替えろ。とっとと出るぞ」
「助かるよ。もうボロボロだったんだ」
百年もの永い時間、監獄に囚われていたせいで死覇装は汚れていた。
「つーか相変わらず此処は胸糞悪ィな」
「そういう場所だからね」
少女が立ち上がった途端、魔法が解かれたように両手と両足の錠が外れ、床に落ちた。
「やっと外れた。マジで邪魔だったんだよな。あーやっぱ跡残ってんじゃん。チッ。」
苛立つように舌打ちをした少女は四肢が自由になったことに開放感を感じた。
「サイズぴったり。あの頃と変わってないのが何だか釈然としないけど…」
「着替え終わったか?」
「もう少し」
「鈍ってねぇだろうな?」
「まァ…大丈夫じゃない?」
「百年近くも刀に触れねぇと感覚とか狂うだろ。体も動かせねぇし」
「狂うどころか相も変わらず健在だよ」
「健在なら心配ねぇな」
襟元を正しながら話を続ける。
「キミ達は強くなったんだろうね」
「お前が腰抜かす程にな」
「そりゃ楽しみだ」
「…言伝、ちゃんと受け取ったぞ」
「うん、ありがとう」
「お前の判断は正しかった」
「うん……」
「だから自分を責めたりするな」
「優しいね、お兄ちゃん」
「優しくねぇ。それとお兄ちゃん言うな」
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