仕組まれた罠
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地下監獄最上層
第零監獄『────』
青眼の少女は其処に収監されていた。
「ねぇ、監視役さん」
まるで歌を唄うように言葉を紡ぎ出す少女は口の端を上げて笑みを浮かべる。
「少しだけお喋りしようよ」
その声は
とても柔らかく
そして優しい────。
「聞いてる?監視役さん」
そんな少女は『────』と呼ばれ
【異質な存在】として生かされていた。
「無視するなんて酷いなぁ」
この監獄の名は『────』。
全てを“無”に還し
絶対に脱獄不可能と云われた
特殊な監獄である─────。
「今日の天気はどんな感じ?」
「黙れ。」
「お、やっと返事をしてくれた。毎日こんなに話しかけてるのに素っ気ないんだもん。独りで喋ってる私が痛い奴みたいじゃないか」
飄々とした雰囲気を放つ少女は笑いを溢す。
「それで監視役さん、今日は…」
「聞こえなかったか。黙れと言った筈だ。貴様の声は煩わしい。仕事の邪魔だ」
「相変わらず酷い言い草だねぇ。私の声が煩わしいとは聞き捨てならないが…まァいい。私はね、キミと対等な立場で話したいんだよ」
「“対等な立場”だと?……反吐が出る。」
檻の向こう側にいる少女を毛嫌いするのは『堅物』や『真面目が服を着て歩いているような男』と云われる看守だ。
彼は少女がこの監獄に収監された日からずっと、彼女の監視役を務めている。それはもう、数百年もの間…。
「手厳しいなァ。ふむ…少しは距離が縮まったと思っていたんだが気のせいだったか」
壁に背を預けていた少女は四つん這いで檻の方に歩いてくる。その時、ジャラリッと金属音が響いた。
「あーこの両手じゃ歩きづらいな。この足も…。ったく、こっちは女の子だってのに容赦ないんだもんな」
少女の両手には鍵穴が存在しない特殊な手錠が嵌められている。その両足も同じく鍵穴の無い足枷で繋がれていた。
「連中も血の気の多い奴ばっかでうんざりするよ。少し挑発した位でブチ切れるんだもんな」
けらけらと笑う少女に嫌気が差したのか、顔をしかめた看守の男は、暗闇の中に紛れ込み、恐らくこちらを見ているであろう少女に向けて冷たい声で言った。
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