「…よォ、どうだ初めて見る十刃（エスパーダ）の刀剣解放は。何とか言えよ死神」



更木はノイトラの刀剣解放に戸惑うどころか、嬉しそうに口元を歪めて笑う。



「いい霊圧だ。久しぶりだぜ…霊圧で刃が研がれてくみてえな、こういう感覚はよ」



「そうかよ、だったら斬ってみろ!!
その研がれた刃って奴でよ!!!」



ノイトラは突っ込んで行き、更木は目の前で刀を振り下ろす。



「何だ」



だが更木の振り下ろした刃は簡単に防がれる。



「それが全力か？」



ノイトラに斬られた更木は遠くに吹っ飛んだ。



「…随分と軽い剣だったぜ、死神…ハッ、ピクリともしやがらねえ…終わりかよ」



つまらなさそうに吐き捨てたノイトラは方向転換すると高い場所にいたやちるに向かって歩き出す。



「…しょうがねえ…残りのモンの片付けといくか」



シュン



「！」



瞬歩でやちるの前に現れた梨央は彼女を背に庇い、ノイトラを冷たい目で見下ろす。



「…緑髪に青眼…そうか…てめぇが仁科梨央か」



「十刃（エスパーダ）にも名前が知られてるとは不愉快だな」



「藍染様から訊いてるぜ。
お前、死神の中で一番強えんだってな」



「過大評価し過ぎだよ」



「オマケに敵と見做した者には一切容赦は無え」



「敵は消すべきだろ」



「俺と戦えよ。そんでお前も殺す」



「軽々しく殺すなんて口にするなよ。
逆にキミが殺されるぞ」



「ハッ、上等だ！」



敵意を剥き出しにして近付くノイトラ。



「ノイトラ･ジルガと言ったな」



「！」



「キミは甘い、砂糖菓子のような甘さだ」



「あ？」



「更木剣八は獣以上の獣。
油断してると…噛み殺されるぞ」



「どういう意味だ？」



「うしろ、見た方がいいよ」



やちるが呟いた瞬間、一つの影が梨央とやちるの横を物凄い速さで通り過ぎる。



その影の正体は更木だった。



刀を振り下ろしてノイトラの腕を一本吹き飛ばす。



「ふ〜〜〜……まずは一本だ」



「…てめぇ…！」



「気をつけてね。
あたしに攻撃すると剣ちゃん怒るから」



「怒ってねえだろ馬鹿野郎。つーか仁科、人の獲物横取りすんじゃねえよ」


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