ヒャクネン ト サイカイ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そうですか…全員無事…」
それを聞いてホッとした。
「心配かけたなァ」
どこか申し訳なさそうに謝る平子に被りを振る。
「なァ…梨央、最近調子はどうや?」
「は?調子?」
徐に口を開いた平子の声色は少し重みが混じっている。
突然何だとでも言いたげな眼で平子を見れば、彼はどこか真剣な表情でこちらを見返している。だがすぐにその意味を理解した梨央も表情を曇らせる。
「それは…“どういう意味”で聞いてます?」
口角を上げたまま、平子は声色だけを変えて再度、彼女に問うた。
「ちゃうな…質問変えよか」
低声になったかと思えば、ニヒルな笑みを消して梨央を見下ろす。
「“例の症状はまだ治ってへんのか”?」
その質問には答えず、冷たい眼を平子に向ける。
「沈黙は肯定と受け取るで」
「…私のこの症状は治らないケースが多いんです。なので治したくても治らない。けど…それが何だと云うんです?」
「オマエの“それ”は悪病や。そのせいでオマエは命を犠牲にしてきたんやろ」
「説教なら聞きたくありません」
「俺がオマエに説教たれた所でオマエは聞く耳持たへんやん。だから昔から何遍も云うてるやろ。“自分の命を大事にせえ”って…」
「…ご忠告感謝します」
「全然感謝してる顔には見えへんけどな」
平子は肩を竦めて呆れる。
「あれから…随分と大変やったみたいやな。喜助から全部聞いたで」
「!」
「俺らのせいで仲間と引き離されて心細かったやろ。堪忍なァ…まさかオマエが俺らの為にそこまでしてるとは思わへんかった」
「私が選んで決めた道です。誰のせいでもありません」
「何で自分の自由と引き換えに監獄に監禁される道を選んだ?オマエにそこまでしてもらう理由はあらへんやろ?ああなったんはオマエのせいじゃ…」
「…せめてもの“罪滅ぼし”でした」
それを聞いた平子は大いに溜息を漏らす。
「ホンマ…相変わらずやな。自分より他人を優先させるトコ、全然変わってへん。ついでに…一人で何でも抱え込むトコもな」
「…それが私の生き方です」
「…阿呆。」
静かに怒る平子に悲しそうに笑う梨央だった。
.