ヒャクネン ト サイカイ
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彼女の容姿に思わず見惚れていると、それに気付いた梨央がニコリと笑み、慌てて視線を逸らす。
「オマエ、親父のこと知ってんのか?」
「キミの父上には昔お世話になったんだ」
「(あのヒゲの世話になったっつーことは…うちの診療所に来たことがあるってことか。)」
「改めてよろしくね、いっちー」
「おう」
「(あぁ、笑うとやっぱり似てるな。)」
その笑う顔すら懐かしく思えた。
「梨央ちゃん!あたし井上織姫!よろしくね!」
「こちらこそ織姫ちゃん。“こっち”で友達ができるなんて嬉しいよ」
ニコリと笑んで席に着いた。霊術院で学んだ知識や経験は現世では通用せず、一時限目は越智の担当教科である現代国語が始まった。
事前に貰った教科書である程度は予習をしていた為、スラスラと頭の中に入ってくる。だが隣を見ると一護は国語が苦手なのか、難しい顔で黒板と自分のノートを交互に見比べていた。
「(苦手なんだろうな…)」
終いには完全に投げ出した一護を見て思わずクスリと笑ってしまった。
「…何、笑ってんだよ」
「誰にでも苦手な分野はあるよね」
「そーゆーオマエは出来てんのかよ?」
不貞腐れたような顔をしたので、こっそりノートを見せてやれば一護はあんぐりと口を開けたまま、驚いた。
「マジか…」
「ふふ」
「頭いいんだな」
「ありがとう」
「字もすげー綺麗だし」
「キミは褒め上手だね」
「…あとでノート見せてもらってもいいか?」
「もちろん」
「助かる!」
小声で話す二人の会話はどこか楽しげだ。頭を下げ、両手を合わせる一護。そんな彼を見て梨央は現世に来てよかったと内心思うのだった。
「はい、ノート」
「悪いな」
「色々マーカーとかで色分けしてるから見づらかったらごめんね」
「いや逆に分かりやすくてありがてえ。写したらすぐ返す」
「次の授業までに返してくれればいいよ」
「オマエ苦手な教科とかねえの?」
「基本はないかなー。授業さえしっかり聞いてれば、“何となく”できちゃうんだ」
「天才の発言だな」
ノートを取りながら感心したように言う一護に苦笑した。
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