悪夢のはじまり
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「嘘よ!!」
「嘘じゃありません」
「だってナイフ持ってるじゃない!!」
「でも刺したのは僕の意思じゃないです」
「はぁ?人を刺しておいて何言ってるのよ!!」
「落ち着け」
激昂する女隊士に日番谷は落ち着いた声で制止させる。彼女は悔しそうに黙り込んだ。
「この状況について説明しろ」
「彼女に告白されたのでお断りしたら自分で衣服を破き、爪で頬や腕を引っ掻きました。そしてこのナイフを僕に握らせて自分から刺されにいったんです」
「なら証拠は?」
「証拠?」
「今のお前の話が本当なら冴島を刺していないという証拠があるはずだ」
「……………」
「その証拠を示せ」
「…ありません」
「証拠が無いのにお前は冴島を刺してないって言うのか?」
「証拠なら今僕が話したのが証拠です」
「それは認められない」
「何故です?」
「俺は証拠を示せと言った。言葉で証拠を示せとは言っていない」
「……………」
「どうした神崎。早くこの状況を説明してみろ。お前が本当に冴島を刺していないという明白な証拠を教えてくれるんだろう?」
「(彼は嫌な攻め方をするな…)」
疑惑の眼差しが突き刺さる。
その碧緑の瞳に見つめられ息苦しさを覚え、目線を日番谷から外す。
「(十番隊隊長、日番谷冬獅郎。)」
最年少にして天才と評された死神
氷雪系最強の斬魄刀を持つ所持者
「(そうか…彼だったか。“あの人”が褒めていた部下というのは…)」
「どうやら証拠はないみてぇだな」
「証拠を示すことは出来ません。ですがこれは全て彼女が仕組んだ罠です」
「罠…?」
「僕を地獄に落とすための」
「ふざけんな!!」
「何が罠だ!!桃香ちゃんはそんな事しないんだよ!!」
「(実際にしたからこんな状態なんだよ。)」
「本当はフラれた腹いせに桃香ちゃんを刺したんだろ!?」
「面白い冗談ですね」
「冗談だと!?」
口角を上げ、笑う。
そんな緊迫する状況の中、螢の発言に顔をしかめたのは日番谷だった。
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