トモダチ ト ナカナオリ
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「冴島兄妹が殺された!?」
「私も駆けつけて驚いたよ」
「そうか…。ま、自業自得だな」
二人の死体の処理を済ませ、隊舎に戻ると監獄で起きた事件を蒼生に報告した。
「あの大騒ぎの後に殺害事件が起きたとなると流石に混乱を招く恐れがある。とりあえずは自殺ということにしておいて護廷には伏せておく。けど一応総隊長の耳には入れておくか」
「犯人の目星はついてんのか?」
「ハッキリとした確証は無い。けど犯人は秘密の抜け穴を知っていた。ということは…あの監獄の構造に詳しい人物って事だ」
「監視モニターさえも潜り抜けた謎の犯人…か。あれだけの看守共がいて誰一人としてその存在を認識してなかったとはな」
「どうやらその犯人は身を隠すのが余程上手らしいな。痕跡すら残さなかった。あの黒装束から犯人に繋がる証拠が出ると思ったんだけどな…考えが甘かったか」
小さな溜息を吐き、調理室の冷蔵庫から持ってきた炭酸水を飲めば、喉奥にしゅわしゅわとした痛みが残る。
「ただ一つ言えるのは…その『犯人』は相当な実力者ということだ」
「どういう事だ?」
「遺体を調べたんだけど…」
「げっ。遺体に触ったのか?」
「だって触らなきゃ何も調べられないし」
平然と言えば蒼生は“うげー…”とげんなりしたような表情を浮かべる。
「確実に急所を狙って殺してた。無駄な刺し傷も無かったし、妹の方も綺麗に四肢を捥がれてたよ。特に首を斬り落とされた胴体の断面が綺麗に切断されてた」
「なんか気持ち悪くなってきたな…」
「しっかりしてお兄ちゃん。」
「お兄ちゃん言うな」
「結果。あれは一人二人斬った感じの殺し方では無かったね。多分…いや、きっと…沢山の人を斬って来たんだろう」
「……………」
梨央の言葉に眉間を寄せ、顔をしかめる蒼生はどこか複雑そうな色を見せる。
「犯人を逃すつもりはない」
「!」
「奴も道理から外れた罪人だ。必ず捕まえて償わせる。そして自覚させる。“己が私欲の為に罪を犯した”という自覚をね…」
普段よりワントーン下げた低い声で冷たく告げた梨央。彼女の海のような綺麗な瞳が、一瞬だけ、暗い色を宿した。
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