仕組まれた罠
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手には知らぬ間に握らされたナイフを持っており、その鋒は桃香の方に向いている。
「(まさか…!)」
銀色に輝くそれを見た螢は手放そうとするが、握られた上から桃香の手が重ねられ、ナイフを捨てることも出来ない。
「キミ!何して…」
「これは復讐よ。アンタを地獄に堕とす為ならアタシはどんな手だって使う」
「!」
「精々…苦しめばいいわ」
そして桃香は螢の手を包み込むように握ったままナイフを自分の方に突きつけた。
グサッ!
「っ………」
桃香から小さな苦痛が聞こえた。そろりとナイフに目を落とせば、桃香の腹部に突き刺さっている。
「─────」
螢は驚いて目を見開き、固まる。桃香の腹部からは血が流れ、螢の手を伝って地面にポタリと落下した。
ふと意識が遠退き、目の前が真っ暗になった桃香の身体は支えを失い、ぐらりと傾く。
まるでスローモーションのように思える動きに螢は無意識に指先がピクリと動くが、桃香の身体はドサッと地面に倒れた。
「……………」
呆然とした表情で倒れた桃香を見た後、螢は自分の掌に目を向ける。桃香の血で汚れた手は小刻みに震えていた。
「…血。血…?血だ…。どうして血が…。ああぁぁ…血だ…っ。私の嫌いな…血。」
綺麗な青眼はどこか虚ろだった。
「…やってくれたな」
だがすぐに正気を取り戻し、苛立ちと憎悪を宿す瞳で倒れる桃香を睨みつける。ピクリとも動かなくなった桃香の顔色は血が足りないせいで本来の人の肌の色を失っていた。
「胸糞悪いモン見せやがって」
冷たい瞳を宿し、舌打ちをする。
「止血しなきゃ死ぬか。死ぬんだろうな。この女が死んだとしても何も思わないが」
面倒くさそうに息を吐いて伝令神機を出すと仲間にメッセージを送った。
「明日から忙しい日々になりそうだ」
だがその顔は笑っている。
「見つかっても面倒だしな。四番隊に連れて行った方がいいか。卯ノ花隊長に事情を説明して…」
「そこで何してるの…?」
「!」
「!?きゃあああああ!!!!」
その日、鼓膜が破れそうな程の大きな悲鳴が響き渡った。
next…