仕組まれた罠
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「アタシが振られた…?」
その声は憎しみに染まっている。普段の媚び諂う声とは全く違って聞こえた。
「冗談じゃないわよ…このアタシが振られるなんて何かの間違いだわ…。顔も頭も性格もスタイルも最高なのに…アタシの告白を断る男がいるなんて絶対におかしい…」
「(彼女の纏う空気が変わった。)」
「屈辱よ…。しかも“アタシが振られた”。…ふふ…あはははっ…」
ぶつぶつと小声で何か言ってるかと思えば、壊れたように笑い、そして鋭い眼光でこちらを睨みつけている。
「そうよ、おかしいのよ…。このアタシが顔だけ取り柄の冴えない男にフラれるなんて…」
顔を上げた桃香は別人のようだった。
「アンタ頭おかしいんじゃないの?」
甘ったるい声は消え失せ、ぶりっ子の面影はなくなっている。鼻で笑い飛ばした桃香を見て“やっぱりか…”という表情を浮かべた。
「それが本性ですか」
「ええそうよ」
見下した態度を取る桃香の声は、彼女の性格そのものが表れているかのようだ。
「甘えた声で擦り寄れば、馬鹿な男達は何もしなくてもアタシのところに寄って来るの。ホント無能な生き物よねぇ」
嘲笑うかのように歪められた顔。桃香は両腕を組み、可笑しそうに語る。
「命令すれば何でも聞いてくれる。まるで手懐けられた家畜だわ。だからアンタも同じように擦り寄れば絶対に落ちると思ったけど…違ったようね」
苛立つように桃香は螢を睨む。
「こんなクソ野郎を落とそうとしたアタシが馬鹿みたい。アンタなんて外見が良くなきゃそこら辺のモブ男よ。このアタシの魅力に気づけないなんて目が腐ってるんじゃないの?」
「言いたい放題ですね。ですが貴女の魅力にどれほどの価値があるのです?」
「何ですって?」
「貴女こそ、外見が良くなければそこら辺のゴミ虫と一緒ではありませんか」
「は、はぁぁ…?」
「おっと。つい口が滑りました」
わざとらしく口を手で押さえて笑う。
桃香はゴミ虫呼ばわりされ、心底腹を立てていた。米神に青筋まで浮かんでいる。
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