零番隊復活
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「僕は幸せにはなれません。」
「!」
「それを捨てて今を生きることを決めたんです」
その眼には揺るぎない意思があって、乱菊は戸惑った。何故彼女は『未来』や『幸せ』を口にするたびに悲しい顔をするのだろう。まるでそれが…“呪いの言葉”のように───。
「それに僕は…………から…」
最後の方は声が小さくて聞き取れなかったが、悲しい顔を浮かべる螢に乱菊は言った。
「あんたのせいで隊長の未来が台無しになることは絶対にないわ」
「!」
「例え差し出された手を取ったからと言って、二人が後悔するような未来がやってくるかどうかなんてそんなの分からないじゃない」
「……………」
「あんたが幸せを否定する理由は分からない。でも今は…幸せだと思ってもいいんじゃない?」
乱菊は甘納豆に目を落とし、笑む。
「その甘納豆をくれたのが日番谷隊長だった…ってだけでも嬉しかったでしょ?」
「それは…」
「心が温かくなって、幸せだって思ったでしょ?あんたの顔がそう語ってたもの」
図星なのか、螢は何も言えず、視線を背ける。その反応に乱菊は微笑んだ。
「ねぇ、運命の赤い糸って知ってる?」
「はい」
「小指に結んだ赤い糸の先に繋がっているのは自分の運命の人なんですって。しかもその糸は目に見えなくて、お互いに想い合ってる者同士じゃないと繋がらないのよ」
「そうみたいですね」
「そして強く惹かれ合ってる者同士の赤い糸は絶対に切れないって迷信があるみたい」
「(運命の赤い糸か…)」
「あんたのその小指に繋がってる相手が日番谷隊長だといいわね」
「……………」
乱菊は空を見上げる。螢は自分の小指を見た。
「───!?」
小指と薬指に赤い糸が巻かれている。
「(赤い糸が…二つ!?)」
小指は長い糸を垂らし、どこかに繋がっているが…薬指の方は…ぷつんと途中で切れている。
「(何で薬指の方の糸は切れてるんだろう?というか赤い糸が二つって…どういう事?)」
「!どうしたの?」
「い、いえ…何でもありません」
螢がもう一度、小指と薬指に目を落とすと…赤い糸は見えなくなっていた。
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