仕組まれた罠
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「桃香こんなに優しくされたの初めてぇ❤︎」
「女性を気遣うのは当然です」
「ふふっ、惚れちゃうかも〜❤︎」
「(冗談じゃない。)」
「あ!桃香もう行かなきゃ!早く戻らないとみんなが心配しちゃうから。じゃあまたね螢君❤︎」
憎たらしい程に慣れたウインクをし、上機嫌で手を振って去って行く桃香の後ろ姿を、張り付けた笑みを湛えたまま見送る。
「……………」
そして完全に姿が見えなくなったところで、にこやかに笑んでいた螢の顔から一切の表情が消えた。
「…“あれ”が冴島桃香」
冷めた瞳を宿し、柔らかさを含んだ声色はワントーン下がる。
事前に渡された書類に寄ると
冴島桃香は貧しい村の出身で
兄に勧められ死神の道を志したとか…。
総隊長からも注意されたな
“冴島桃香には気をつけろ”と…。
「ハァ…厄介毎に巻き込まれなければいいが…」
面倒くさそうに溜息を吐き、焼却炉の中の炎を忌々しげに睨みつける。
「チッ」
彼女の存在が無性に苛立ち、持っていた書類を乱暴に焼却炉の中に投げ捨てた。
◇◆◇
その翌日、彼女はまた現れる───。
「螢君〜❤︎」
甘ったるい声色にぞわりと体が震え、その声の人物が誰だか分かると盛大に溜息を吐き、うんざりした表情を浮かべる。
「やっと見つけた♪」
後ろを振り返れば桃香がニコニコと笑んで歩み寄って来る。一度目を瞑り深呼吸をした螢はうんざりした表情を消し、張り付けた笑みを浮かべた。
「もう探したんだからぁ」
ふわりと香ってきたキツイ香水の臭いに顔をしかめる。
「(香水禁止令を出して欲しい。)」
そのくらい桃香の臭いはキツイ。だが本人はその臭いが男を虜にするとでも思っているのか、気にも止めず振り撒いている。
「(昨日からなんなんだこの女…)」
しつこくまとわりついてきて
いい加減うざいんだよ
でも邪険には出来ないし…
「…僕に何か用事ですか?」
悪態は心の中に収め、桃香が尋ねてきた理由を問いかける。
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