大切だから許せない
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「上手く咲けばいいな」
サァーッと風の音が吹く。
「難しいかも知れないな。幸福花は幸せの花だ。幸せを捨てた私はこの花を咲かせられない…」
空を見上げ、切なげに笑う。
「神崎?」
後ろから名前を呼ばれ、振り返る。そこには日番谷が立っていて、螢は表情を険しくさせた。
「(嫌な人に会ったな…)」
日番谷の瞳には相変わらず失望の色が垣間見える。
「こんな所で何してる」
「あなたには関係ありません」
スッと冷たい瞳を向け、その場を立ち去ろうと日番谷の横を通り過ぎる。
「待て」
呼び止められ、足を止めた。
「聞きたいことがある」
こちらを振り向いた日番谷は眉間にしわを寄せたまま、鋭い眼光を放つ。
「華月のことを調べてるようだな」
「!」
「調べてる理由は何だ」
「何故あなたに教えなきゃいけないんです」
「答えろ」
その命令口調に苛立ちを浮かべる。
「隊長は華月さんが護廷を辞めた理由をご存知ですか」
「そいつなら体調不良が原因で辞めた」
「本当に体調不良で辞めたと思いますか」
「何が言いてえ?」
「……………」
「まさか華月の辞めた理由に不信感を持ってんのか?」
何も言わない螢に、日番谷は呆れるように溜息を吐く。
「お前がどう思おうが、あいつは体調不良が原因で脱退した。今更何の疑問を持つ?」
「僕は彼女が体調不良で辞めたと思っていません」
「!何…?」
「冴島四席が仕組んだ罠にハマったんです」
「!!」
「彼女の取り巻き達による嫌がらせが続き、心身共に限界がきていた。それでも彼女は必死に働いた。卯ノ花隊長の役に立つ為に」
「……………」
「そこを冴島四席に利用され、四十六室に目を付けられた彼女は護廷から追い出された」
「四十六室だと!?」
「戦いに必要ないと判断した者を本人の意思に関係なく、切って捨てる連中なんですよ」
日番谷は驚きを隠せず、言葉を失う。
「奴等が死刑と言えば死刑。死神を裁くのは神でも悪魔でもない。僕達の命運を握っているのは愚かな四十六室なんですよ」
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