遠き日の思い出
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「果実たっぷりのパンケーキもお願いします」
「(恐るべし美女の胃袋…)」
「楽しみだね〜」
「そうだね」
「(でも…肉食系女子も良い!!)」
何故か涙を流し感動する店員は、心の中で二人の美女に出会えたことの感謝を唱える。
「(目の保養になった。ありがとう、名前も知らない可愛い系の美女と綺麗系の美女。貴女方のおかげで午後も頑張れます。)」
そして店員はウキウキ気分で厨房に入って行った。すると奥から“美女が大食らい!?”という驚いた声が聞こえたのだった…。
「さっきの店員さん驚いた顔してなかったー?」
「きっと私達があんなに頼むとは思わなかったんだろうな」
「人は見かけによらず、だネ☆」
人差し指を立て、パチンと片目でウインクをした霙。今日はどうやら家族連れが多いらしい。あちらこちらで子供の賑やかな声が聞こえる。
「最初に紅茶お二つとオレンジジュースをお持ち致しました」
ティーカップとグラスで運ばれてきた飲み物が目の前に置かれる。
「…ローズティーの匂いがする」
「薔薇の紅茶?」
「うん」
「霙はねー、レモンティー!」
「紅茶とオレンジジュースじゃ合わないでしょ?」
「そんなことないもーん。
美味しけりゃ何でもいーの!」
すると霙はオレンジジュースを一気飲みした。
「ぷはあっ!うむ!良い味わいだ!」
「…一気飲み。」
「レモンティーも美味〜!」
「(ま、いっか。)」
取っ手を持ち、カップに口を付け、一口飲めば、ローズの良い香りが漂う。
「ふふ」
「どうしたの?」
「だって男装でもない、女の子の梨央ちゃんと出かけられるなんて嬉しいんだもん」
「あぁ、護廷の時は男装してるからな。元の姿に戻るのは久々かな」
「やっぱり梨央ちゃんは美人さん」
「どうしたの急に?」
「言いたくなっただけー」
「そう。霙も可愛いよ」
「梨央ちゃんには敵わないよ〜」
「とか言って満更でもないくせに」
「あ、バレた?」
「うちは美男美女揃いだからな」
「うんうん!本当にそれ!」
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