遠き日の思い出
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「す、すみません!この子が何か粗相でも…」
「ううん!こっちの不注意でこの子とぶつかっちゃったの!この子は何も悪くないよ!」
「そうだったんですか…」
安心したように息を吐いた母親は女の子の頭に手を置いて優しく笑んだ。
「あなたも気をつけなさい」
「だって早くオムライスが食べたいんだもん」
「オムライス?」
「これから家族で食べに行くところなんです。この子ったら…オムライスが大好物なんですよ」
「わかる!美味しいよね!」
「お姉ちゃんもオムライス好き?」
「美味しいものは全部好き!」
「私も好き〜!」
二人は嬉しそうに笑い合う。
「お互いに怪我がなくて本当に良かったよ」
「梨央ちゃん…」
「キミも気をつけるように」
「はい…」
優しく注意して、女の子の目線と同じになるようにしゃがむ。
「楽しんでおいで」
「うん!」
バイバイと手を振る女の子と頭を下げる両親を見送る。
「家族かぁ…」
「幸せそうだね」
「うん。でも霙も幸せ」
愛嬌のある笑みを梨央に向ける。
「梨央ちゃんやみんなと出会えてすごーく幸せ!こっちに来た頃は不安で何も分からなかったけど梨央ちゃんが霙を見つけてくれた!手を差し伸べてくれた!だから今の霙がいるの!」
そしてにんまりと深い笑みを浮かべた。
「ありがと!梨央ちゃん!」
自分の運命を変えてくれた恩人に霙は感謝してもしきれないと云ったような気持ちで胸が一杯になった。
「私も幸せだよ。キミ達と出会えて。
だから今の零番隊が在るんだ」
梨央も仲間へ感謝の気持ちを伝える。
「もう少しだけ我慢してくれ。
必ずキミ達の帰る場所は守る」
「うん。信じてる。梨央ちゃんなら霙達の帰る場所を守ってくれるって」
「さぁ、行こうか」
「うん!」
霙と共に後ろを振り返れば、遠くの方にまだあの親子が見える。真ん中にいる女の子は両親と手を繋いで楽しそうに笑っている。
「その手を離しちゃダメだよ」
柔らかく微笑みながら、霙はどこか後悔の色を含んだ声で静かに呟いた。
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