仕組まれた罠
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翌日から素性を隠して平隊士として働き始めた螢は山本に頼まれて不要な書類を焼却炉に捨てていた。
「外は気持ちが良いな」
「こんにちはぁ❤︎」
彼女は一瞬で顔をしかめた。
その甘ったるい声で何もかも消え失せたのだ。せっかく優越感に浸っていたのに台無しにされ、思わず舌打ちをしそうになったが堪え、眺めていた空から視線を外して後ろを振り返る。
「………………」
螢は自分に話しかけてきた少女を見て嫌悪感を覚えた。
派手な化粧
きつい香水の臭い
わざとらしい猫撫で声
全てが螢の勘に障った。
「どちら様ですか?」
それでも顔に出さず、作り笑いを浮かべる。
「ええー桃香のコト知らないのぉ?」
頬を膨らませて悲しげに表情を沈ませた少女は人差し指同士をツンツンと軽く突いた。
「すみません。まだ入隊したばかりですので…」
「今日が初日なのぉ?」
「はい」
「そっかぁ❤︎それなら桃香のコト知らなくて当然だよねぇ〜。冴島桃香だよ♪十番隊に所属してるのぉ」
「そうなんですか」
「それでね!桃香はぁ〜お姫様なの❤︎」
「(は?)」
桃香の言葉に作り笑いを浮かべたまま、ピシッと固まる。
「お姫様…ですか?」
「そうだよぉ❤︎みーんな桃香のコト可愛いって褒めてくれるんだぁ❤︎人気者は辛いよねぇ」
「(あ。この女、苦手だ。)」
「お姫様になりたいとは思ってるけどぉーここまで愛される桃香は本物のお姫様だよね♪」
「…………………」
「うふふ❤︎」
なに言ってんだこいつ。
両手の拳を口元に当てて気持ち悪い笑いを溢す桃香に螢は蔑みの眼差しを向ける。
「(勘違いにも程があるだろ。)」
別にキミなんか可愛くないよ
つーか自分のことお姫様扱いかよ
「(マジで苦手なタイプだな…)」
「モテすぎて困っちゃう❤︎」
イラッ
「桃香のコト、絶ッ対に覚えてねっ!」
きゅるんっ
上目遣いでこちらを凝視める桃香に笑顔を張り付けたまま何も言わず無言を突き通す。
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