カタウデの少女
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村人達の罵倒する言葉にうんざりした。
「(まるで無能な家畜共と同じだな…)」
護廷でも罵詈雑言が飛び交う日々に嫌気が差しているというのに、ここでも梨央を否定する言葉が飛び交っている。
「別にどう思われようが構いませんが、私達は彼女に聞きたいことがあるだけなんです。傷付ける気も連れ戻す気もありません」
「あんたの都合なんか知るか!」
「役に立たないからってあの子を追い出したのはお前達だろう!?それなのに今更会わせろだなんて随分身勝手だなぁ!?」
「死神を受け入れるなんて御免だ!」
「…“死神を受け入れるなんて御免”ですか」
「そうよ!」
「それはかつて死神として生きていた彼女を否定しているのでは?」
「何だと?」
「私達を否定するなら一度は死神として生きていた彼女の存在も否定しているのと同じことなんですよ」
「!」
「それと…言葉には気をつけて頂けませんか?そういう“雑音”は嫌いなので」
スッと冷たい瞳を宿した梨央に、村人達は恐怖し、何も言えなくなる。
「名を何と申す、死神」
「あぁ、自己紹介が遅れて申し訳ありません」
胸に手を添え、ニコリと笑む。
「仁科梨央と申します」
「!」
「以後、お見知り置きを」
すると老人は顔を伏せ、静かに呟いた。
「やはりそうか…。お主は………の………じゃったか」
最後の方は小さくて聞き取れなかったが、梨央は老人を凝視する。
「………………」
「条件がある」
顔を上げて老人は言った。
「何でしょう?」
「詩愛に会わせる代わりに儂も同伴させてもらう。それがこちらが提供する条件じゃ」
「別に同伴でも構いません」
「…案内しよう。着いて参れ」
老人は背を向ける。
「村長!いいのかよ!」
「皆の者、安心せい。少なくとも此奴らは招いて良い客人じゃ」
納得のいかない村人達を残して彼は先に歩き出す。霙が梨央に耳打ちをする。
「あの村長さん、最初はあんなに警戒してたのにどういう心境の変化だろうね?」
「さぁ。でもこれで一先ず彼女に会える」
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