仕組まれた罠
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「お主は優しい子じゃよ。誰かが傷ついておれば手を差し伸べてしまう。己の命を犠牲にしてでも…お主は大事なものを守ろうとする。賢明で仲間思いなところは変わっておらん」
山本の言葉に梨央は小さく笑んだ。
「さて…前置きが済んだところで早速、本題に入ろうかの」
「頼みがあります」
「何じゃ」
「明日から私を一番隊の平隊士として働かせてください」
「それは構わぬが…急じゃな」
「善は急げです」
「お主の実力なら席官でも良い気がするが…」
「席官だと行動に制限があります。それに比べて平だと雑務に追われますが色々自由に動くことが出来るので」
「一応、理由も聞いておこうかの」
「単純です。奪われた百年という空白の時間を仲間と共に埋めたいんです。失った過去は戻りません。それはどんなに戻って欲しいと願ってもです。だから未来を歩む為に百年分の歳月を埋めようと思うんです」
「“失った過去は戻らない”か…」
山本は悲しげに呟く。
「良かろう、許可する」
「ありがとうございます」
「お主は明日から一番隊の平隊士として働いてもらう。それでいいんじゃな?
───零番隊隊長、仁科梨央」
「はい」
「手続きはこちらで済ませておく」
「よろしくお願いします」
梨央は頭を下げ、一番隊舎を立ち去った。
◇◆◇
「総隊長の許可は得た。残るはこの格好…」
死覇装を見下ろす。
「女のまま過ごすのもいいけど…普通すぎてつまらないな。どうせなら男装して過ごした方が絶対に面白い!」
そうと決まれば名前を何にするかだな…
「この前蒼生くんが読んでた小説の登場人物の名前を借りよう。確か名前は…神崎螢だったはず!」
パチンと指を鳴らす。
すると淡い光に包まれ、それが消えると梨央の姿は変わっていた。
「我ながら美男子♪眼鏡を掛ければ完成!」
カチャッと眼鏡を掛ける。
「混乱させるとまずいし
みんなには伝えておくか」
青い蝶が顔の前で静止する。
「頼むよ」
伝言を受け取った青蝶は綺麗な羽根を羽ばたかせ、みんなの元に飛んで行った。
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