カタウデの少女
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【零番隊舎】
「朝から呼び出してすまない。実は冴島桃香に関する重大な情報を入手したから集まってもらった」
「重大な情報?」
「雅、報告を頼む」
梨央の指示を受けて椅子から立ち上がった雅は手にしていた報告書を読み上げる。
「冴島桃香の過去を調査した結果、意外な事実が判明したんだ」
「なぁに〜?」
「去年護廷を脱退した
「華月詩愛?」
「聞いたこともないわ」
「ハイハーイ!霙知ってる!」
「オレも知ってるっスよ」
霙はリキュールを抱えたまま、元気よく手を挙げた。
「同じ四番隊だったよ!」
「オレは護廷に入隊してる女の子なら顔と名前は覚えてるっス」
「最低だわ」
「何で!?」
「全員覚えてるとかゲスい」
「向こうから寄って来るんだし拒むのは可哀想じゃないスか。詩調チャンだって男の名前くらい覚えてるっしょ?」
「ゴミ虫の名前なんか覚えないわ」
「世の中の男がすげー可哀想…」
詩調は腕を組み、不機嫌そうに顔を逸らす。
「それより彼女がどうかしたのか?」
「実は…」
「誰かオレの傷付いた心を慰めて欲しいっス!」
「よしよし琉生君」
「雅クン…!」
「少し静かにしてね。ハウス。」
「Σガーン…!!」
「(“あれ”が無意識なのが怖い…)」
悪気のない雅のキツい物言いに梨央は苦笑する。
「雅クンがオレを犬扱いする…」
「華月さんねー体調不良だかで働けなくなっちゃって仕方なく辞めちゃったの〜」
「無視はヤメテ!!」
「体調不良?」
「頑張り過ぎて体壊しちゃったの。あんなにれっちゃんの役に立てるのが嬉しいって張り切ってたのに」
落ち込む琉生を完全スルーして話を進める。
「ふむ…体調不良か…」
「何か引っかかってる?」
顎に手を添え、考える仕草をする梨央に雅は笑んで言う。
「彼女は本当に体調不良が原因で辞めたの?」
「どういう意味だ?」
「これは私の推測だが…もしかしたら彼女も被害者だと思ってね」
「華月詩愛が?」
「さすが梨央、鋭いね」
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