市丸ギンという男は
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「どいつもこいつも勝手なことばかり言いやがって。こっちは我慢するのに必死なんだぞ」
十番隊の帰り道、今までの罵詈雑言と容赦のない暴力に怒りを抑えられず、地団駄を踏むようにざくざくと歩いていた。
「残るは三番隊だけか。ったく…どこ行きやがった、あの狐目…」
「なんやボクのこと呼んだ?」
後ろから聞こえた声に思わず足を止める。
「(初めて会った時から不快だと思った…)」
それは今も昔も変わらない
私が拒絶する声────。
「聞き間違いやったら堪忍なァ。もしかしてボクの悪口言うてなかった?」
振り返ると淡い水色の双眸が深く身体に突き刺さる。その居心地の悪さに顔をしかめた。
「久しぶりやね」
「市丸ギン…」
「隊長を呼び捨てにしたらアカンよ」
咎めるような言い方だが、全くそれを感じさせず、むしろ愉しげな声色が混ざっている。
「なーんてな。冗談や、冗談♪」
「……………」
こちらに向かって歩いてくる市丸は螢の前で立ち止まると、ニヤリと不気味な笑みを浮かべて楽しそうに言った。
「怒った?」
顔を覗き込むように身を屈めた市丸を鬱陶しそうに無言で睨みつける。
「…反論ナシ。何や面白くないなァ。昔の君はボクがからかうといつも言い返したのに。あ、なるほど。今は神崎螢君やから本来の君みたいに反抗できないんやね」
「…よく喋る奴だな」
「!」
「そんなに人をからかうのが面白いか?」
最初はキョトンとした市丸も、ニヤリと笑んで楽しそうに声を弾ませる。
「君をからかうんはボクの愉しみなんよ」
「ハッ、最低な愉しみ方だな。相変わらずキミは胡散臭い」
「君は昔も今も変わらんね。気が短こうて口が悪い。仲間の為なら自分の命も犠牲にすることができる“死にたがり”…やったなァ?」
「…書類を届けに来た」
市丸の挑発には乗らず、奴の胸に書類を押し付ける。書類に目を通しながら市丸はクスッと可笑しそうに笑った。
「冴島桃香ちゃん刺したんやって?」
「……………」
「ボクも見物したかったなァ。君があの子にナイフを突き立てて犯人扱いされとる所。さぞかし面白かったんやろな」
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