独りぼっちの少女
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「ねぇママー。どうしてあの“オジチャン”は自分で歩かないのー?」
「!?」
ザワッ
子供の発言に驚いた母親は慌てて手で口を塞ぐ。周りの人々も驚いた顔を浮かべた。その目は一斉に天竜人であるカリュロスに注がれる。
「おい子供…今何と言った?」
ビクッとその場にいる全員が反応した。
「僕ちんを“オジチャン”と申したかえ?」
最悪にも聞こえてしまったカリュロスは、怒りで身体を震わせ、奴隷の背中から降りる。
「も、申し訳ございません…!!!」
子供の失態に母親がすぐに土下座をした。
「娘がとんだ無礼を!!どうかお許しを…!!」
地面に頭を擦りつけ、謝罪をする。真っ青になった顔からは涙が浮かび、身体はカタカタと小刻みに震えていた。
「女、どういう教育をしている」
「本当に申し訳ありません…ッ!!!」
「その子供は僕ちんを“オジチャン”呼ばわりした。下々の分際で天竜人に楯突いた。それなりの罰を受けるのは当然だと思わないかえ?」
カリュロスは懐から銃を取り出した。
「っ!?ど、どうかお許しを!!この子には私からキツく叱っておきますので!!だからどうか命だけは…!!」
そんな母親の姿を見てか、子供の目にも涙が浮かんでいる。
「奴隷にしようかと思ったけどやめにするえ。子供が一人死んでも何も変わらない。そうだとは思わないかえ?女。」
「え……?」
「僕ちんは怒ってるんだえ」
その差し向けられた銃は母親───ではなく、まだ幼い子供に狙いを定められる。
「!!」
「下々と関わると毒に侵されるえ。さっさと始末するのが一番手っ取り早いえ」
「ま、待ってくれ…!!」
その時、一人の男が群衆を押し退け、母親と娘を守る為に飛び出した。
「(飴屋のお兄さん!?)」
少女は驚いて男を見る。
「どうか妻と娘だけは助けてください!!代わりに私が奴隷でも何でもなりますから!!」
「あなた!?」
「大丈夫。君とその子は絶対に俺が守るよ」
「っ………」
安心させるように笑うもその表情はどこか切なげに思え、妻の目からは涙が溢れた。
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