独りぼっちの少女
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「ふーん…じゃあお兄さんは“父親”なんだね」
飴を口に咥えたまま、ニッと笑う。
「守ってやらないとな。奥さんも子供も。家族を守れるのは父親である俺しかいない」
「うん、私もお兄さんなら絶対に守れるよ。だってこんな美味しい物を作る人だもん」
「!」
ニコニコと笑みを浮かべる少女に、男は表情を和らげ、嬉しそうに笑う。
「ありがとな。ところで嬢ちゃん、そのマントは脱がねえのか?」
「日差しに弱いんだ」
「そうなのか。この島には観光で?」
「人と待ち合わせ」
カラコロとキャンディーを口の中で転がす。
「だったらこの島を歩くならこれだけは気をつけな」
男は周囲の様子を窺った後、小さな声で少女に忠告する。
「町には『世界貴族』が歩いてる事がある」
「!世界貴族…?」
「聖地マリージョアの住人達だ」
800年前に世界政府を作り上げた
『創造主』と称される20人の王達の末裔。
別名───【天竜人】。
「(自分達を『人間』ではなく『神』と認識してるイカれた奴等か…。)」
「たとえ町でどんな事が起きようとも『世界貴族』には楯突くな。たとえ目の前で“人が殺されても”見て見ぬフリをするんだ」
「……………」
「『世界貴族』は別名を“天竜人”と言う。偉そうで一般人と同じ空気を吸わねえ様にマスクをしてる。嬢ちゃんも命が欲しけりゃそいつらに決して楯突かねえ事だ」
「ふーん…」
「それからもう一つ」
「まだあるの?」
「この島には“新世界”を目指す者達が集う島だ。中には名の通った『海賊』達もいるし、それを狙う『海軍』、『賞金稼ぎ』───それに『人攫い』」
「結構やばいね、この島」
「十分に注意しろ。『海軍本部』そのものがこの近くの海にある。『賞金稼ぎ』もレベルに見合う猛者ばっかだ」
「なァ〜るゥ〜」
パキンッと飴を噛み砕き、マントを翻し、男に背を向ける。
「色々教えてくれてありがとお兄さん。この町を歩く時は精々“天竜人様”には気をつけるよ」
ひらひらと手を振り、30GRにあるショッピングモールへと向かった。
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