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【第2章】

“いつかこの街を出て、
小さな家に住んで、
心から愛した人と暮らし、
意味もないような小さな愛を噛み締め、
裕福ではないが幸せに暮らす。”

それが僕の夢だ。



そして、
豪奢で美しい見た目だけの飾りに溢れ、
愛という言葉とは真逆に位置した人間関係を詰め込んだ、
格式高さを感じさせる大きくて冷たい建物。


皆が主の機嫌を損ねないようにと媚びへつらい引きつった笑みを浮かべ、
決められた事以上には誰もが決して踏み込まないように躾けられた使用人と、
本心では他の誰かに愛を語りながらも世間体を気にして形だけの家族に台詞のように愛を囁くような家族を囲った、
嘘と体裁だけで保たれた箱庭のような世界。

そんな世界が、僕の現実だ。
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