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【花束と薔薇 運命と呼ぶに相応しい出会い 💐×🥀(はるおる)】

それは、雨の日の出来事だった。
そう、運命の2人が出会った日の話だ。

糸のような雨が、庭園の花達に優しく降り注いでいる。
窓の外を眺め、その光景を見る金色の長い髪をした少年。
ふと、純白の髪をした少年に目が止まる。
青い傘をさして、両親であろう大人達とこちらにやってくる。
金髪の少年は、静かにカーテンを閉じた。

――両親に連れられ、定期検診にやってきている少年が居た。
少年は、生まれつき色素が常人とは違うようで、両親共に日本人なのにも関わらず、白髪金眼なのだ。
その事から、身体に異常が無いか調べる為に病院へ通っている。

両親が受付を済ませている間に、ふらりとその場を離れようとする純白の少年。
母親が声をかける。
母親:待って、春陽。まだ呼ばれていないわよ。
少年は無表情で、振り向きもせず答える。
春陽:散歩。
母親:もうっ!

純白の少年は、きょろきょろと辺りを見回しながら階段を上がる。
適当な階で階段を後にし、廊下を静かに歩く。
そして、扉が半開きになっている病室を見つけた。

好奇心から、こっそりと中を覗いてみると…
金色の腰まで伸びた髪に、真っ青な空色の碧眼をした、世にも美しい少年が、ベッドに腰をかけてこちらを見ていた。
金髪の少年:誰…?
春陽:……

純白の少年の胸は高鳴っていた。
今まで感じた事のないくらいの心拍音。
ソレが聞こえてやまないのだ。
無意味に胸を抑えてしまう。

金髪の少年:何だ。心臓が痛いのか…?今ナースコールを…
春陽:いや…お前のせいだ。
金髪の少年:…は?

純白の少年は、金髪の少年の腕を掴む。
金髪の少年の髪はさらりと大きくなびいた。
春陽:好きになった。
金髪の少年:…どうした。今出会ったばかりだぞ。
春陽:名前を教えろ。
金髪の少年:嫌だ。父さんから「知らない人間に名前を教えるな」と言われている。

純白の少年は、その言葉を聞き終わった後で、金髪の少年の顎を撫でた後、唇を親指で触れ、その唇を奪った。
金髪の少年:…っ!?何をする…!
春陽:これでもまだ、疑うのか。

金髪の少年:何なんだ。君は…もっと話す気が失せたぞ…
春陽:同い年くらいか。お似合いじゃないか。
純白の少年は悪戯っぽく笑みを浮かべる。
春陽:俺は5歳。お前は?
金髪の少年:…4歳。

春陽:年下か。
金髪の少年:年下に何をするんだ…
金髪の少年は口を抑えて涙ぐむ。
春陽:もっと酷い事をしてやろう。俺は、一度好きになったヤツは逃がさない。

金髪の少年:…!や、やめっ…!

………

階段を降りてくる純白の少年。
母親:遅かったじゃない。どこに行っていたの。ドクターがお待ちよ。
春陽:ああ、今行く。

あの病室では、ぐちゃぐちゃになったベッドの上で、うつ伏せになって尻を抑えている金髪の少年が居た。
金髪の少年:何なんだ…アイツ…尻が痛いぞ…それに変な感じがする…ボクに何をした…
金髪の少年は涙混じりに赤面していた。

一方、純白の少年が帰る頃には雨は止んでいた。
母親:帰るわよ。春陽。
春陽:ああ。
春陽:(俺は、一度好きになったヤツは逃がさない…初めて、好きになった。最初で最後だ。何があっても逃がさない)
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