~第1幕 ハート型の確信犯~
チョコレートよりも甘い雰囲気が漂うバレンタインの高校。
1日の始まりたて。いつも通り登校してきた叶詩に憂晃は、下駄箱に靴を入れる。
叶詩:憂晃くんは誰のチョコが欲しい?
憂晃:ん?そんなの、叶詩くんがくれれば、他は要らないよ。
そう言った憂晃の下駄箱には、白い小箱が入っていた。
叶詩:……
ソレを見た叶詩のハイライトがふっと消え、たちまちに無表情になる。
憂晃:あー、今年もか。
叶詩:ねっ。面と向かって渡したら憂晃くんが受け取らないからって、ズルいし小賢しいよ!
ぷくっと頬を膨らませる叶詩くんを、はにかんで撫でる憂晃。
憂晃:大丈夫だよ、叶詩くん。
叶詩:だってこんなのおかしいよ。渡したいからっていう気持ちの押し付けだもん。
憂晃くんの事、考えてないよ。憂晃くんは迷惑なだけなのに。
そう言う叶詩の下駄箱には、何も入っていない。
憂晃:やっぱり、バレンタインの前にリサーチ済みの女の子は、叶詩くんの下駄箱には入れないんだね。
叶詩:うん!だってくれるとしても、下駄箱に入れるなんて衛生面でどうかと思うし、気付かなかったら靴で潰れちゃうじゃん!
現実的に考えて有り得ないよ。気付かれないようにしたいなら、もっと別のいい方法が沢山あるだろうし。そこまで考えてくれないなら要らないし…
憂晃:バレンタインの話が出た時に毎回、そう言っていたからね。
きっと、女の子達はわかってくれたんだろうな。
叶詩:それなのに!何でそのチョコの主は、憂晃くんの下駄箱にそんなモノを入れたのかな~。
憂晃:「そんなモノ」は駄目だよ。とりあえず、学校内では。
叶詩:あっ、そうだね!本当の価値を指摘されるとヒステリックになっちゃうもんね。
憂晃:うーん。困ったな…
叶詩:だって困ってくれる憂晃くんが可愛いんだもん!ごめんね。つい。
憂晃:意地悪な叶詩くんも好きだよ。そうだな、このチョコは…
あ、差出人の名前が書いてある。じゃあ、今日中に返しておこうか。
叶詩:え~!折角のバレンタインを差出人探しに使うのは勿体無いよ!
あ、この女の子知ってる!この子を好きなクラスメイトが居るから、きっと、このチョコ欲しがるんじゃないかな~?
憂晃:でも、そのまま渡すとなると、差出人の方が傷付くと思うな…
叶詩:じゃあこうしようよ!クラスメイトの下駄箱に間違って入っていたっていうシチュエーションで、落ちそうだったから親切心で今から渡しに行く!
憂晃:…!とてもいいアイデアだね。差出人は少し疑問を抱くかもしれないけれど、誰も傷付かない。
ニコっと笑う叶詩につられて、ふわりと笑顔を零す憂晃。
叶詩:よっし!じゃあ今日はそういう日にしようか。
家で2人きりの時間は作れるしね?
憂晃:またボクを寝かせない気なのかな。
叶詩:いいじゃないか!人助けした後の癒しは必要だよ!
憂晃:…そうだね。
男子生徒A:ほら、憂晃の方が下駄箱に貰ってる!
男子生徒B:クソーッ!女子達、空気読みやがって…
男子生徒A:お前は憂晃がモテるのが気に入らないだけだろ。
とにかく、賭けには勝ち。ビッグハンバーガー奢りな?
男子生徒B:だって理解出来ねえし。あんなふわふわ男のどこが王子なんだよ!
男子生徒A:そりゃ、ふわふわした金髪碧眼の長身美男子だからだろ。
男子生徒B:ウギィー!結局は顔かよ!
男子生徒A:顔だけじゃないけどな。アイツは、色々。スペックが高い。
それはそうとして、いがみ太郎のお前が何で叶詩は許せる訳?ちょっと気になる。
男子生徒B:ん~。クラスでも人気者だし、引き寄せる力があるんだと思う。
男子生徒A:ソレは憂晃も一緒じゃん。
男子生徒B:だけど、カワイイ!って感じだし…ごにょごにょ…
男子生徒A:は?もしかして、お前…は~、ふ~ん?
男子生徒B:な、何だよ!
男子生徒A:あげる側の方がいいんじゃないか?今からでも喜ばれるんじゃね?
男子生徒B:う、うるせ~!とにかく俺らは負け組なんだから、昼飯楽しみにしておけよ!
男子生徒A:でも、俺もう貰ったよ?正門で。
男子生徒B:はあ!?突然の裏切り!コレは…もう俺、早めに帰ってチョコ買って届けるしかない…家知ってるし…
男子生徒A:いがみ太郎から、やけくそ太郎に進化した。家知ってるんだ、ソレは引いた。
でも、あの2人、同棲してるんだろ?入り込む余地無くね?
男子生徒B:はあ…だよな~…負け組だ…
男子生徒A:そうだと思って、お前には俺からチョコをプレゼントです。ほら、小さいけど一口で食べれるだろ。
男子生徒B:マジか!友チョコ染みる~!
叶詩:おはよう!2人共!そんなところで話していたら、1時限目に遅れるよ?
憂晃:…うん。おはよう。
男子生徒達に向かって、ニコニコと挨拶をする叶詩。
手を繋いでいる憂晃は、うとうととしている。
男子生徒A:よお、ありがとな!叶詩に憂晃!
男子生徒B:憂晃、早速のチョコ羨ましいよ~!王子め。うりうり。
憂晃:ああ、コレは…
叶詩:もう、憂晃くん。秘密でしょ?じゃあ、先に行ってるね!
浮かれるのはいいけど、大概にしないと。先生が困っちゃうよ。
叶詩に連れられていく憂晃は、小さく手を振っていた。
男子生徒A:叶詩、男なのにめっちゃいい匂いするから、びっくりする。
声も高めだし。マジで、お前が気になるのはわかってしまう…
男子生徒B:だよな~。でも叶詩が憂晃しか見てないのとか、ひしひし伝わってくるし、憂晃の魅力もめっちゃわかるから、もう俺腐男子になるわ。
男子生徒A:えっ。
男子生徒B:真面目に。
2人の後ろで、ファンが出来た事を知らずに、少しだけ急いで教室へ向かう叶詩と憂晃。
1日の始まりたて。いつも通り登校してきた叶詩に憂晃は、下駄箱に靴を入れる。
叶詩:憂晃くんは誰のチョコが欲しい?
憂晃:ん?そんなの、叶詩くんがくれれば、他は要らないよ。
そう言った憂晃の下駄箱には、白い小箱が入っていた。
叶詩:……
ソレを見た叶詩のハイライトがふっと消え、たちまちに無表情になる。
憂晃:あー、今年もか。
叶詩:ねっ。面と向かって渡したら憂晃くんが受け取らないからって、ズルいし小賢しいよ!
ぷくっと頬を膨らませる叶詩くんを、はにかんで撫でる憂晃。
憂晃:大丈夫だよ、叶詩くん。
叶詩:だってこんなのおかしいよ。渡したいからっていう気持ちの押し付けだもん。
憂晃くんの事、考えてないよ。憂晃くんは迷惑なだけなのに。
そう言う叶詩の下駄箱には、何も入っていない。
憂晃:やっぱり、バレンタインの前にリサーチ済みの女の子は、叶詩くんの下駄箱には入れないんだね。
叶詩:うん!だってくれるとしても、下駄箱に入れるなんて衛生面でどうかと思うし、気付かなかったら靴で潰れちゃうじゃん!
現実的に考えて有り得ないよ。気付かれないようにしたいなら、もっと別のいい方法が沢山あるだろうし。そこまで考えてくれないなら要らないし…
憂晃:バレンタインの話が出た時に毎回、そう言っていたからね。
きっと、女の子達はわかってくれたんだろうな。
叶詩:それなのに!何でそのチョコの主は、憂晃くんの下駄箱にそんなモノを入れたのかな~。
憂晃:「そんなモノ」は駄目だよ。とりあえず、学校内では。
叶詩:あっ、そうだね!本当の価値を指摘されるとヒステリックになっちゃうもんね。
憂晃:うーん。困ったな…
叶詩:だって困ってくれる憂晃くんが可愛いんだもん!ごめんね。つい。
憂晃:意地悪な叶詩くんも好きだよ。そうだな、このチョコは…
あ、差出人の名前が書いてある。じゃあ、今日中に返しておこうか。
叶詩:え~!折角のバレンタインを差出人探しに使うのは勿体無いよ!
あ、この女の子知ってる!この子を好きなクラスメイトが居るから、きっと、このチョコ欲しがるんじゃないかな~?
憂晃:でも、そのまま渡すとなると、差出人の方が傷付くと思うな…
叶詩:じゃあこうしようよ!クラスメイトの下駄箱に間違って入っていたっていうシチュエーションで、落ちそうだったから親切心で今から渡しに行く!
憂晃:…!とてもいいアイデアだね。差出人は少し疑問を抱くかもしれないけれど、誰も傷付かない。
ニコっと笑う叶詩につられて、ふわりと笑顔を零す憂晃。
叶詩:よっし!じゃあ今日はそういう日にしようか。
家で2人きりの時間は作れるしね?
憂晃:またボクを寝かせない気なのかな。
叶詩:いいじゃないか!人助けした後の癒しは必要だよ!
憂晃:…そうだね。
男子生徒A:ほら、憂晃の方が下駄箱に貰ってる!
男子生徒B:クソーッ!女子達、空気読みやがって…
男子生徒A:お前は憂晃がモテるのが気に入らないだけだろ。
とにかく、賭けには勝ち。ビッグハンバーガー奢りな?
男子生徒B:だって理解出来ねえし。あんなふわふわ男のどこが王子なんだよ!
男子生徒A:そりゃ、ふわふわした金髪碧眼の長身美男子だからだろ。
男子生徒B:ウギィー!結局は顔かよ!
男子生徒A:顔だけじゃないけどな。アイツは、色々。スペックが高い。
それはそうとして、いがみ太郎のお前が何で叶詩は許せる訳?ちょっと気になる。
男子生徒B:ん~。クラスでも人気者だし、引き寄せる力があるんだと思う。
男子生徒A:ソレは憂晃も一緒じゃん。
男子生徒B:だけど、カワイイ!って感じだし…ごにょごにょ…
男子生徒A:は?もしかして、お前…は~、ふ~ん?
男子生徒B:な、何だよ!
男子生徒A:あげる側の方がいいんじゃないか?今からでも喜ばれるんじゃね?
男子生徒B:う、うるせ~!とにかく俺らは負け組なんだから、昼飯楽しみにしておけよ!
男子生徒A:でも、俺もう貰ったよ?正門で。
男子生徒B:はあ!?突然の裏切り!コレは…もう俺、早めに帰ってチョコ買って届けるしかない…家知ってるし…
男子生徒A:いがみ太郎から、やけくそ太郎に進化した。家知ってるんだ、ソレは引いた。
でも、あの2人、同棲してるんだろ?入り込む余地無くね?
男子生徒B:はあ…だよな~…負け組だ…
男子生徒A:そうだと思って、お前には俺からチョコをプレゼントです。ほら、小さいけど一口で食べれるだろ。
男子生徒B:マジか!友チョコ染みる~!
叶詩:おはよう!2人共!そんなところで話していたら、1時限目に遅れるよ?
憂晃:…うん。おはよう。
男子生徒達に向かって、ニコニコと挨拶をする叶詩。
手を繋いでいる憂晃は、うとうととしている。
男子生徒A:よお、ありがとな!叶詩に憂晃!
男子生徒B:憂晃、早速のチョコ羨ましいよ~!王子め。うりうり。
憂晃:ああ、コレは…
叶詩:もう、憂晃くん。秘密でしょ?じゃあ、先に行ってるね!
浮かれるのはいいけど、大概にしないと。先生が困っちゃうよ。
叶詩に連れられていく憂晃は、小さく手を振っていた。
男子生徒A:叶詩、男なのにめっちゃいい匂いするから、びっくりする。
声も高めだし。マジで、お前が気になるのはわかってしまう…
男子生徒B:だよな~。でも叶詩が憂晃しか見てないのとか、ひしひし伝わってくるし、憂晃の魅力もめっちゃわかるから、もう俺腐男子になるわ。
男子生徒A:えっ。
男子生徒B:真面目に。
2人の後ろで、ファンが出来た事を知らずに、少しだけ急いで教室へ向かう叶詩と憂晃。
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