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~第1幕 殺気の必要無い羽休めの私生活~

6時ぴったりに鳴るスマホのアラーム。
大きめのオーダーメイドダブルベッドがごそごそと動く。
フリルで彩られたネグリジェ姿で、不機嫌そうに頭を抑えて中から出てきたのは、この家に住む彼岸谷 折葉という青年だ。

金に透き通るような水色が混ざった長い髪と、輝く碧眼に桃色がかったダイクロックアイを持つ、見た目からしてかなり特殊な美しいタレ目の男である。

その隣で微動だにせず熟睡しているのは、この家の主である綾瀬 春陽という青年だ。

サラサラとした白髪に青色のメッシュと、現在はアイマスクを着用し、瞳を閉じているが金色の瞳を持つ、またも見た目からしてかなり特殊なツリ目の男である。

折葉は低血圧の為、寝起きがとても悪いが、早朝に目が覚めてしまうという謎の体質を持つ。
そして寝るのも、とても早い。
春陽からは「お爺ちゃん体質」だとよく弄られる。

そんな折葉の朝は早い。
目覚まし時計通りの6時ぴったりに起き、そこから暫く読書をする。
折葉が本棚から出してきた本は、もうすぐで読み切ってしまいそうなところで栞が挟んである。
折葉:やれやれ…この時のボクは睡魔に負けたか…
折葉はその巻を速読すると、本棚に返す。

折葉:この本の続きは…
折葉が読んでいるのは、多種多様なジャンルの本だ。
何かの図鑑だったり、論文だったり、小説だったりと様々である。
しかし、本棚は、ジャンル別にきちんと片付いてある。
折葉の性格が出ていると言っても過言では無いだろう。

続きの本を手に取り、ベッドの上で、またも速読する折葉。
本を読むという行為に慣れ過ぎて、結果として早くなっているだけで、彼が持つ本の中の情報量は、通常の人間が普通の早さで読んだ情報量と大差ないだろう。
寧ろ、彼の方がよく意味を理解して読んでいるのかも知れない。

暫くベッドの中で本を読んでいると、折葉の足がさわさわと優しく撫でられる。
折葉:何だ、起きたのか。朝食はまだだぞ。
春陽:手にひんやりとした、すべすべの折葉の美しい足が当たったから、つい。
折葉:細やかな表現だな。
春陽:離したくない…
折葉:朝から文字通り絡むな。今日の朝食はボクだからな、作るぞ。
春陽:おやすみ…
折葉:ああ、少しの間寝ていろ。

折葉は本を閉じ、ベッドから離れると、本棚に戻した。
一度、春陽の寝顔を見にベッドを覗き込むが、アイマスク姿なので、よくわからない。
折葉:いつも通りだな。

そのままキッチンへ向かい、簡単なベーコンエッグを作る折葉。
手先が器用なので、大抵の事はこなす事が出来る。
大変スペックの高い男であるが、春陽にはほぼ全ての面で、なぜか勝つ事が出来ない。
折葉:(この間は、春陽くん、アイマスクを着けたまま朝食を作っていたな…)
考え事をしながら、片手で卵を割る折葉。
折葉:(あのアイマスクには穴も空いていないし、大道芸でもやる事が出来そうだ…)
簡単な朝食だった為、すぐに出来上がり、折葉は食器や飲み物、ベーコンエッグ等を手際良くリビングのテーブルに並べていく。
折葉:さて、呼びに行く…か?…ん?
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