このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

~第1幕 歪で残酷な嘘吐き~

――想像してみてよ。
この世界の真実を。

ボク如きにだって親友が居たんだ。
勝手かつ一方的に親しいと思っていただけの友達。
ソレが親友でしょう?違うの?

ソイツは、教科書を具現化したかのような善人だった。
グロテスクな僕如きの心まで洗って、照らしてくれる存在。
近くに居るだけで、5分程度話すだけで、そう思ってしまう程に…
強い善を感じた。
ボク如きにでさえ、そう思わせる事が出来たんだ。ソイツは。

例え一時でも。

会話の6分目。ボク如きにでもわかってしまうソイツの真実。
隠し切れない人間の証。
ソイツにも心臓があって、鼓動しているのだと思い出してしまった。
ここでハッキリ言っておくが、ソイツが悪い訳じゃないよ。
あくまでボク如きの意見だから、さ。
この世界で善と悪がきっちり区分されるのなら、ボク如きは絶対に悪だし…

ソイツは善だった。
今のソイツを知らないから、とりあえず過去形にしてしまったけれど。
どこかの漫画のような理論を掲げていた。
正義、友情。それと希望だとか、そんな感じの似たようなモノ。

でも、ボク如きの意見だが、こう思ってしまうんだよ。
そんなヤツを求めているモブは勿論、大多数だ。
しかし、絶望を知らないヒーローには、助けられないモノもあると。
少なくとも、クラスメイトの中で1人だけ。
いや、学校の中で1人だけかも知れないけれど。
忘れていないかな?ホラ。このボク如きを。

正直に言って、無償の愛だなんて…
――気持ちが悪いよな。

繁華街で配られているチラシとティッシュ程度の愛?
そんなモノ必要無い。
そう思うモブも居ると思うんだよね。
だから対価を求める。ボク如きのやり方で救ってあげるよ。
ボク如きは、ヒーローにはなれない。
そしてどれだけ努力をしようがなる事は出来ない。
それに、どれだけ頼まれようと、求められようと、決してなりたくない。

努力さえあれば何にだってなれるだとかって…
結局はそうである世界を信じていたいだけだよね。
世界はそう出来ているって、上手く回っているって…
信じていたいという願望以外の何物でも無いよね。

さて、優しい嘘に包まれているこの世界を少しでもマシにしようか。
嘘はどこまで続くのか。
ボク如きに教えられるのは癪だろうけれど、教えてあげるよ。
嘘はどこまでも続くのさ。真実とは違うからね。

怪盗ライアー。
ボク如きにも存在する、真実の面。
1/1ページ
スキ