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~第2幕 月と薬 研ぎ澄まされた正義 🌙×💊(やときわ)~

俺の理解者は数少ない。
俺自身も誰かを深く理解した事が少ないから、自業自得だと思っている。
はっきりと言って、俺は頭が悪い。
基本的に自分本位で生きているつもりだ。
それくらいの開き直り方をしている。

十人十色の人間達が、完全に理解し合う事はとても難しいだろう。
いくら頭が悪くてもわかる事だ。

理解し合えなくとも、分かり合えなくても…
例え、ソレが水と油だって、歩み寄る事は出来る。
俺はそういった、一見危うい考えを持っている。

本来ならば、成り立たないであろう俺の理想。
ソレが今もこのように俺の中で生き続けているのは、俺の周りに居る優しいヤツらのお陰だろうな。
たまたま、俺の周りには優しい人間達が集まってくる。
俺は本当に運がいい。いつも助かってばかりだ。
ここが、俺の掛け替えのない居場所だ。

小研:お〜い!馬鹿夜斗〜!何、一人前に物思いにふけってるんだ〜!
夜斗:おう、小研。別に何も考えてねえよ。
小研:そうだろうな!まあ、そうでなくても、どうせサボテン程度の知能しかない夜斗の考える事なんて、たかが知れているけどな~!
特に理由もなく出会い頭に、俺に罵声を浴びせてくる男。
ダボダボの白衣に、丸眼鏡をかけたプリン頭のチビは、小研 究という。
俺の幼馴染であり、大切な恋人だ。
しかし、ベイビーフェイスな顔立ちとは裏腹に、かなり口が悪い。
俺が先程考えていた事は、かなりマトモな物思いのふけり方だと思うのにな。

大学が早く終わるからと言われ、彼の通う大学の校門の前で待っていた。
かつては俺も通っていた大学だ。
現在、小研は大学院生になり、俺は剣道講師となった。
今では、小研に呼ばれて偶にこうして来ている。
色々な思い出の詰まった懐かしい場所である。

夜斗:俺は考え事するのも許されないのか?
小研:ああ、許さないとも!どうせお前の周りで騒ぐ女子大生の事でも考えていたんだろっ!
夜斗:はあ!?か、考えてねえよ。つーか眼中にも無かったぜ。

そう言ってから、周囲を確認すると、確かに大学から出てくる女性達がこちらを注目していた。
夜斗:あー…でも、ここで待ってろって言ったの、小研だよな?
小研:大学が終わってから、真っ先に夜斗の顔が見たかったんだっ!
夜斗:そ、そうか…
夜斗:(絶対嘘じゃねえか…怖え…背中がぞわぞわする…)

小研:嘘だぴょんっ!てへぺろ!ことぺろ!きわぺろ!
夜斗:そうだろうな。なぜ苗字と名前を制覇したのかはわからねえが。
小研:顔だけはいい夜斗がここに来れば、ボクと夜斗の仲の良さが女共に広がる。
夜斗:…?おう。
小研:夜斗を餌に、大学の女共を医学部のパシリにする計画…!
夜斗:何だその最悪な計画は…

小研:どうだ。もうお前は加担しているんだ。医学部のマスコットにしてやらなくもないぞ。
夜斗:突然素のトーンで話すな。加担した覚えはない。俺はここに立っていただけだぜ。
小研:ソレを加担した方向に持っていくのがボクの仕事☆
夜斗:それに、免許も知識も無い別の学部の女子大生に何が出来るというんだよ。あまり無理させるなよ。
小研:出たよ。夜斗の誰にでも優しい姿勢。反吐が出る。

夜斗:反吐、すぐに出たな。ボロクソに言ってくれるじゃねえの。俺に刀を抜かせるなよ。
小研:心配無用。猿でも出来るおつかい程度しかさせないから。
夜斗:じゃあ猿にやって貰えよ。

小研:えっ?
夜斗:…ん?
小研:医学部以外の大学生及び、大学生院生は全員猿みたいなもんだろ…?
夜斗:真顔でソレ言うなって。今この時点で地球上のかなりの人類を敵に回したぞ。
小研:世界中を敵に回しても、ボクの事は守ってくれるのが夜斗だよね?
夜斗:何だその都合のいいヒーローは。

小研:ボクの王子様☆

夜斗:それで、小研。まさかその最悪な計画の為に呼び出したんじゃねえだろうな?
小研:スルーかよ。ああ、勿論あの計画の為だけだよ!
夜斗:はあ?俺は帰るからな。
くるりと家の方向へ一直線に向き、スタスタと歩いていく夜斗。
そんな夜斗の着物にひしっと、引っ付く小研。
小研:待って!待って〜!
夜斗:…
小研:おい待てって。待て。待て、おいゴルァ!

夜斗:お、おい。やめろ小研。俺が悪かったから、大声を出すな。そしてついでに地声もしまえ。
小研:あの計画のついでに、甘党の夜斗に、近くの甘味処で新商品が発売されていた事を教えようと…
夜斗:先に言え!っていうか後付け感満載だが、本当に信じていいんだろうな?
小研:恋人の言う事も信じられない程の人間不信じゃないだろ?それとも、そうなのか…?実は…夜斗の裏の顔って…
夜斗:違えよ!俺に勝手に設定を付与しようとするな。
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